農の道具

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農業生産に欠かせない道具として鋤・鍬・鎌、そしてそれらを研ぐための砥石がある。中崎館では鍬先や鎌、境関館では鎌、堀越城では鍬の木製柄の部分や横杵(よこきね)(砧(きぬた))・槌(つち)が出土している。
 境関館で出土した鎌には直線刃のタイプが一点(図53-1)と曲線刃のタイプが二点(図53-2・3)出土しており、前者は木製の柄も付属している。刈り取るものによって使い分けていたものと考えられる。中崎館でも曲線刃の例があり古代の形態に近い。鎌を研ぐ砥石は、面が曲線状にえぐれた状態になることからわかりやすく、境関館では約半数がこの手の砥石である(図53-4~6)。

図53 境関館出土の鎌と砥石