藩主の在国時における家臣の勤務時間は、次のようになっている。御目見(おめみえ)以上の登城時刻は、「国日記」文化二年(一八〇五)三月三日条に、「(上略)尤古来之通四ツ時以前出仕相揃候処に而、(下略)」とあり(資料近世2No.二〇九)、四ツ時以前とは午前十時以前のことである。退出時間は「国日記」文政十三年(一八三〇)十二月四日条に、それぞれの役人に対し、「(上略)三月より九月迄九半時退出候様、十月より二月迄八時致退出候様、(下略)」とみえ(同前No.二一一)、三月~九月は九半(ここのつはん)すなわち午後一時、十月~翌年二月は八時(やつどき)すなわち午後二時である。退出時間が一時間異なるのは、季節による日照時間を考慮したためであろう。したがって勤務時間は、一般に午前十時ころから午後二時ころまでであり、諸藩と同程度であった。