(三)住居

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 全国的には、江戸時代初期の家は藁または萱・麦藁などで屋根を葺き、柱は栗の丸太の掘立て、床は竹の簀子(すのこ)か、籾(もみ)を地面に積み上げたものに筵(むしろ)を敷き、壁は土壁ではなく、藁で囲っただけのまことに粗末なものであった(『生活史』Ⅱ 一九六五年 山川出版社刊)。
 中期以降の家は、柱は掘立てではなく、石の土台を置いてその上に柱を立てており、床も簀子から板木に代わっている。総体に、初期から中期にかけての農民住居の特徴は、大きい住宅を持つ者は村役人クラスの農民だけで、一般の農民の住宅はごく小さく粗末なものであった、といわれている。
 幕末期には、四つ間取りといわれる形が一般化してきた。そのほかに、床の間を設けること、座敷に仏壇・神棚を設けるようになったこと、勝手が広くなり、そこに囲炉裏(いろり)を移すこと、流しが床上から土間に移ること、風呂場もしだいに土間の一隅に移ることなどの変化がみられる。また一般的に住宅規模が大きくなっている。