乳井貢

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素行の思想の影響は乳井貢(にゅういみつぎ)(一七一二~一七九二)の場合にもみられる。乳井はその思想において、「武門天命の職」を担うべき武士の職責意識を強く喚起したが、これは素行の武士道観から学んだものである。乳井の思想はこの素行と荻生徂徠の古学思想からの影響が色濃くみられる。彼の経歴とその思想については通史編2第四章第一節三で述べたとおりであるが、ここでは彼の豊臣秀吉と赤穂浪士に対する特異な批判に言及しておく。