平成13年(2001)2月25日 第38回日本選手権大会決勝

国立競技場

神戸製鋼 27-27 サントリー

神鋼、サントリー決着つかず、ともに日本

平成12年(2000)度 第38回日本選手権試合
2001年2月25日 G:国立競技場 R:下井眞介 KO 14:00
神戸製鋼 27 27 サントリー
1 中道 紀和(同大) 12 19 1 長谷川 慎(中大)
2 弘津 英司(同大) 15 8 2 坂田 正彰(法大)
3 清水 秀司(明大) 3 元吉 和中(日大)
4 小泉 和也(早大) 2 T 3 4 大久保 尚哉(筑波大)
5 ブレア・ラーセン(ロスミニ高) 1 G 2 5 早野 貴大(帝京大)
6 小村  淳(明大) 0 PG 0 C6 大久保 直弥(法大)
7 冨岡  洋(明大) 0 DG 0 7 ヘイデン・スコーン(ワイカト大)
8 伊藤 剛臣(法大) 8 斉藤 祐也(明大)
9 苑田 右二(法大) 2 T 1 9 永友 洋司(明大)
10 アンドリュー・ミラー(テ・プケ高) 1 G 0 10 沢木 敬介(日大)
C11 増保 輝則(早大) 1 PG 1 11 北條 純一(日大)
12 元木 由記雄(明大) 0 DG 0 12 浅田  朗(摂南大)
13 大畑 大介(京産大) 13 アルフレッド・ウルイナヤウ(オークランド工大)
14 平尾 剛史(同大) 18 12 14 福田 茂樹(明大)
15 八ッ橋 修身(天理大) 15 吉田 尚史(専大)
交代【神】ディーン・アングレッシー(タウマルヌイ高)⑤ 【サ】小野澤宏時(中大)⑭、中村直人(同大)③、阮申琦(明大)⑦

 この年も大学チームの挑戦をすべて跳ね返し、神鋼がNECを57−36、サントリートヨタを31−17で破っての決勝進出となった。社会人大会準決勝では神鋼が41−38で辛勝している。死闘を演じた両者の再戦はファンの期待を集め、そして期待どおりの熱戦となった。

 先手は神鋼が取った。前半2分に元木が突っ込んだラックから苑田、ミラー、大畑と回り、この日センターを務めた大畑が先制トライ。12分に神鋼はラックからターンオーバーして苑田、ミラー、平尾からリターンパスを受けた苑田がトライ(ミラーゴール)、12−0とリードした。15分過ぎにサントリーが反撃に出る。ボールが動きラックからの球出しがよくなる。17分連続攻撃から永友、北條でトライ、32分自陣からラックを連取してWTB福田がトライ、永友ゴールで12−12の同点に持ち込む。38分連続攻撃から再び北條がトライ、永友ゴールと、見事な3連続トライで19−12と逆転する。

 後半4分、神鋼SOミラーがPGを決めて19−15と迫る。7分には自陣からの連続攻撃で、伊藤、増保、ミラー、八ッ橋と回りトライ、20−19と再逆転して観衆を沸かせる。20分にはサントリーが永友のPGで22−20と再々逆転。30分には神鋼がFB八ッ橋の2つめのトライ、ミラーゴールで27−22と再々々逆転に成功する。36分、サントリーはラックからターンオーバー、永友、沢木、ウルイナヤウからFB吉田が右隅にトライ、27−27と同点に追いついた。このまま引き分けと思われたロスタイムの42分、まるでファンサービスのアンコールのように、サントリー永友が右中間45メートルのPGを狙う場面を演出したが、惜しくも外れ、ついに同点引き分けの結末となった。ファンは大興奮、関係者は胃が痛くなる熱戦であった。

 神戸製鋼の萩本光威監督、増保輝則主将とサントリーの土田雅人監督、大久保直弥主将は観客を魅了した熱戦への満足感と、競り合いに勝ちきれなかったわずかな無念さを胸に秘め、さわやかにお互いの健闘を称えあった。

 平成21年(2009)夏、急逝して皆を悲しませた石塚武生が『機関誌』Vol.50-6にこう書き残している。「(前略)何よりも両チームから学ばなければならないのは、メンタル面のタフさである。このタフさがなければ最後までシーズンを勝ち抜くことは絶対に不可能である。得点27対27という数字は、両チームとも数少ないトライチャンスを得点につなげたが、どちらかというとタックルとチームディフェンスが光った試合であり、最近のラグビーにはないディフェンスゲームだった。スリルと感動を与えてくれた両チームに心から拍手を送り、そして、このような試合が見ることができるならば、必ずラグビーファン、そしてプレーヤーが確実に増え、日本ラグビー復活の兆しとなると確信している」。