平成19年(2007)2月4日 秩父宮ラグビー場
○東芝ブレイブルーパス 14-13 サントリーサンゴリアス●
(東芝府中ブレイブルーパスはチーム名変更)
平成18年(2006)度 第4回マイクロソフト杯決勝 | ||||||
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2007年2月4日 G:秩父宮ラグビー場 R:岩下眞一 KO 14:00 | ||||||
東芝ブレイブルーパス | 14 | - | 13 | サントリーサンゴリアス | ||
1 | 高橋 寛(帝京大) | 7 | 前 | 7 | 1 | 長谷川 慎(中大) |
2 | 松尾 大樹(大東大) | 7 | 後 | 6 | 2 | 青木 佑輔(早大) |
3 | 笠井 建志(法大) | 3 | 池谷 陽輔(法大) | |||
4 | 大野 均(日大) | 1 | T | 1 | 4 | 早野 貴大(帝京大) |
5 | ルアタンギ侍バツベイ(大東大) | 1 | G | 1 | 5 | サイモン・メイリング(オタゴ大) |
6 | 渡邊 泰憲(日体大) | 0 | PG | 0 | 6 | 篠塚 公史(法大) |
7 | 中居 智昭(熊本工) | 0 | DG | 0 | 7 | 元 申騎(明大) |
8 | ニコラス・ホルテン(ワイカト大) | 8 | 佐々木 隆道(早大) | |||
9 | 吉田 朋生(東海大) | 1 | T | 0 | C9 | 田中 澄憲(明大) |
10 | 廣瀬 俊朗(慶大) | 1 | G | 0 | 10 | 菅藤 心(明大) |
11 | ナタニエラ・オト(大東大) | 0 | PG | 2 | 11 | 小野澤 宏時(中大) |
12 | スコット・マクラウド(ワイカト大) | 0 | DG | 0 | 12 | ライアン・ニコラスス(オタゴ大) |
C13 | 冨岡 鉄平(福岡工大) | 13 | 平 浩二(同大) | |||
14 | 吉田 大樹(同大) | 12 | 反 | 12 | 14 | 栗原 徹(慶大) |
15 | 立川 剛士(関東学大) | 15 | 有賀 剛(関東学大) | |||
交代【東】猪口拓(慶大)②、石澤健太郎(帝京大)⑧、宮下哲朗(関東学大)⑦、伊藤護(専大)⑨、シオネ・ケプ(オークランド大)⑪ 【サ】前田航平(早大)①、大久保尚哉(筑波大)⑧、ブレント・トンプソン(パーマストンノース高)⑤、沢木敬介(日大)⑬、野村直矢(法大)⑭ シンビン=バツベイ(東) | ||||||
トップリーグが軌道に乗ったこの年に、これぞベストゲームといえる決勝戦が展開された。薫田監督、冨岡主将のもと円熟期に入った東芝ブレイブルーパスに、清宮克幸新監督を迎えて躍進するサントリーサンゴリアスが挑んだ。山下大悟が負傷してサントリーは田中澄憲がゲームキャプテンを務めた。昨年度と一味違う対決に、ファンの期待が集まり秩父宮は超満員、そこで繰り広げられた死闘は見る者の心を熱くたぎらせるに十分だった。
前半24分に、サントリーWTB栗原徹が東芝SO廣瀬のロングパスをインターセプトして独走、先制トライ(ニコラスゴール)をあげた。31分、東芝が反撃、カウンターアタックから冨岡、廣瀬、マクラウドでトライ(吉田大樹ゴール)して同点に追いつく。
後半11分、サントリー、ニコラスがPGに成功して10−7とリードする。20分に東芝はバツベイが危険なタックルでシンビン[反則により10分間の一時的退場を命じられること]となり苦境に立たされた。ゴール前スクラムでサントリーがスクラムで押しきろうとする。東芝FWは7人でこのプレッシャーに必死に耐える。
ラグビージャーナリストの藤島大は、ここを勝負の分かれ目と捉えている。「東芝は7人でセットするほかない。どうするか。ここで王者の王者たる知恵が存分に発揮された。公称(120キロ)より実際は20キロほど重いバツベイ不在、右のLOの位置に誰が入るか。No8のホルテンが名乗りを上げた。練習でもLO経験はほとんどない。ズバリ素人である。しかし押しは強かった。ペアを組んだ大野が言った。『いちばんのポイントはニック(ホルテン)の頑張り。重かったです』」(ラグマガから抜粋)。さらに藤島大は東芝の左右のFLが入れ替わり、104キロの渡邉泰憲がホルテン側に回って、サントリーPR池谷の押しに対応したことを称えている。
ここを支えきった東芝は、30分にバツベイが戦列に戻った。37分サントリー、ニコラスがPGを決めてリードを6点に広げた。サントリーが守りきるのか、東芝が逆転するのか、満員の観衆が声を限りの声援を送る。
4分の長いロスタイムに入って、岩下レフリーがあとワンプレーと告げた最後のモール。東芝が波状攻撃で攻め続けたモールをついに押しきって、バツベイが左中間に飛び込んだ。吉田大樹が冷静に逆転のゴールを決めた瞬間、秩父宮ラグビー場は歓喜と悲嘆の歓声に包まれた。私は素晴らしいゲームを見た幸せに酔いしれ、両チームに惜しみない拍手を送っていた。