平成1年(1989)5月28日 秩父宮ラグビー場
スコットランド食った!「世界8強から初金星」
No.275★101 スコットランド代表第2回来日第5戦 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1989年5月28日 G:秩父宮ラグビー場 R:L.ピアード(W) KO 14:00 | ||||||
日本代表 | 28 | - | 24 | スコットランド代表 | ||
1 | 太田 治(日本電気) | 20 | 前 | 6 | C1 | アレキサンダー・ブリュウスター |
2 | 藤田 剛(日本IBM) | 8 | 後 | 18 | 2 | ジェームス・ヘイ |
3 | 田倉 政憲(三菱京都) | 3 | ダグラス・ウィルソン | |||
4 | 林 敏之(神鋼) | 3 | T | 0 | 4 | クリストファー・グレイ |
5 | 大八木 淳史(神鋼) | 1 | G | 0 | 5 | ダミアン・クローニン |
6 | 梶原 宏之(東芝府中) | 2 | PG | 2 | 6 | デレック・ターンブル |
7 | 中島 修二(日本電気) | 0 | DG | 0 | 7 | グラハム・マーシャル |
8 | シナリ・ラトウ(大東大) | 8 | イアン・パクストン | |||
9 | 堀越 正巳(早大) | 2 | T | 1 | 9 | グレイグ・オリバー |
10 | 青木 忍(大東大) | 0 | G | 1 | 10 | ダグラス・ワイリー |
11 | 吉田 義人(明大) | 0 | PG | 3 | 11 | イワン・ツカロ |
C12 | 平尾 誠二(神鋼) | 0 | DG | 1 | 12 | ショーン・リニーン |
13 | 朽木 英次(トヨタ) | 13 | ルアリ・マクリーン | |||
14 | ノフォムリ・タウモエフォラウ(三洋電機) | 21 | 反 | 8 | 14 | マット・ダンカン |
15 | 山本 俊嗣(サントリー) | 15 | イアン・グラスゴー | |||
得点:T林、吉田、朽木、ノフォムリ、山本、G山本、PG山本2 | ||||||
宿沢広朗監督率いる新生ジャパンがスタートしてわずか4ヵ月で、日本代表がスコットランドを倒した。うれしい驚きであり喜びであった。宿沢監督は“この相手なら勝てる”と言いきって選手をその気にし、結果を出して信頼を集めた。この年早大主将だった清宮克幸が、後年早大の監督に就任して成功した実例と重なって見える。“有言実行”が成功のキーファクターなのか。スコットランドはブリティッシュ・ライオンズ(全英4ヵ国代表)の豪州遠征に主力9人が参加しているため、若手主体のチーム編成であったが、日本の初勝利の価値は極めて大きいものがあり、まさに歴史的勝利であった。宿沢はスコットランドを3トライに抑え、ジャパンが4トライ取ると読んだのだ。結果はスコットランドを1トライに封じ、1G、5PG、1DGの24点に抑える反面、なんと5トライを奪う猛攻で1G、2PGを加えた28−24で快勝した。
「『ね。しっかり守れば勝てるといっていたでしょう』。気のせいか、ふわふわした足取りの宿沢監督は、どんなに我慢しても、表情が崩れてしまう。監督に就任しての第一戦が大金星だから無理もない。『スコットランドは守りが弱い。だから、20点ぐらいに抑えれば勝機はあると思っていたんです。そして、それを自分でも信じ込むことにし、選手らにも吹き込んだんです』。最初はとても信じられなかった選手も、練習で一緒に研究し、具体的に攻め方、守り方を追求していくうちに半信半疑に変わり、『今日グラウンドに出るときは、みんな勝てると思っていたはずですよ』と、すっかり洗脳していた。相手のメンバーがベストでなかったのは残念だが、トライ数は5対1の完勝。一度は引退を考え、この試合で復帰した林(29)がしみじみと言った。『やってよかった。メンバーとか、シーズンとか、そんなことどうでもいいじゃない。とにかく勝ったんだから』。そう、日本ラグビーの夢を実現した男たちに拍手を送ろう」(読売、大塚博靖)。
得点経過 10分、13分山本PG成功、18分日本ラインアウトから展開、吉田が自らのパントを取ってトライ(10−0)、20分から30分までにグラスゴー4回、オリバー1回PGを失敗。31分オリバーPG、33分ラインアウトから藤田が突進、林がトライ、35分ラックから吉田が朽木とスイッチ、さらにノフォムリ、朽木とわたりトライ、山本G成功、40分オリバーPG(20−6)。後半2分ツカロが基点のモールを押し込んでトライ、オリバーG、5分、13分オリバーPG(20−18)、19分吉田のパントを山本が左隅にトライ、26分オリバーPG(24−21)、28分ラトウが抜け、朽木、ノフォムリでトライ、31分ワイリーDG成功(28−24)。