テストNo.268 日本代表イタリア遠征 イタリア代表戦

English 写真 機関誌
平成23年(2011)8月13日 G:チェゼーナ R:ロマンポワト(FRA)
日本代表 24-31 イタリア代表
No.506★268 イタリア遠征2011 イタリア代表
2011年8月13日 G:チェゼーナ R:ロマンポワト(FRA)
日本代表24-31イタリア代表
1平島 久照(神鋼)17141アンドレア・ロチチェーロ
2堀江 翔太(パナソニック)7172レオナルド・ギラルディーニ
3畠山 健介(サントリー)3ロレンツォ・チッタディーニ
4ジャスティン・アイブス(パナソニック)2T24クエンティン・ヘルデンハイス
5北川 俊澄(トヨタ)2G25マルコ・バルトラーミ
C6菊谷  崇(トヨタ)1PG06アレッサンドロ・ザンニ
7マイケル・リーチ(東芝)0DG07マウロ・ベルガマスコ
8ホラニ龍コリニアシ(パナソニック)C8セルジオ・パリセ
9田中 史朗(パナソニック)1T29エドアルド・ゴリ
10ジェームス・アレジ(ノッティンガム)1G210リカルド・ボッキーノ
11宇薄 岳央(東芝)0PG111トンマーゾ・ベンヴェヌティ
12ニコラス ライアン(サントリー)0DG012マッテオ・プラティケッティ
13平  浩二(サントリー)13アルベルト・スガルビ
14遠藤 幸佑(トヨタ)181114ジウニオ・トニオラッティ
15ウェブ将武(コカ・コーラW)15ルーク・マクリーン
交代【日】トンプソン ルーク(近鉄)④、藤田望(ホンダ)③、アリシ・トゥプアイレイ(キヤノン)⑬、日和佐篤(サントリー)⑨、西原忠佑(パナソニック)⑦ 【イ】コルネリアル・ファンセイル④、パブロ・カナヴォシオ⑨、ルチアーノ・オルケラ⑩、マルティン・カストロジョヴァンニ③、ポール・ダービーシャー⑥、ゴンサロ・カナーレ⑬、トンマーゾ・ダビチェ  シンビン=平島(日)、ロチチェーロ(イ)
得点:T ペナルティートライ、宇薄、平浩二、G:アレジ3、PG:アレジ

 立ち上がりの日本は、イタリアの圧力で自陣ゴール前に釘付けとなり、まったくボールを持てない苦しい時間帯が続いた。3分に、イタリアSHが日本ゴール前でのペナルティから自らトライラインに迫った後、BKのアングルチェンジであっさり先制トライ。10分にも相手SHの個人技で2トライ目を献上。それでも時間の経過とともに、「(PNCの相手のように)フィジカルな強さだけでなくシステム的な感じ」(HO堀江翔太)というイタリアのプレーにも慣れて、前半20分からの20分間、試合は完全に日本のペースとなる。一番のポイント、スクラムに関しても、「相手ボールの時はプレッシャーを受けることもあったが、マイボールはしっかりキープできた」と畠山が言う通り、レフリーとのコミュニケーションの問題で自分たちの間合いで組ませてもらえない場面などはあったが、右PRが極端に上から内側に押さえ込んでくるイタリアの組み方にもしっかり対応。実際、日本の初トライは思い通りに組めたスクラムが起点になった。ブラインドサイドからオープンサイドのSOの外側に走り込んだWTB遠藤幸佑にパスが渡ってラック。さらに、素早く順目に流れて、SOアレジがグラバーキックしたボールをWTB宇薄岳央が相手DFに競り勝って、自らインゴールで押さえた。さらに28分にも、ニコラスライアン、そして平浩二のCTBコンビが連続してタテ突破して2トライ目、「イタリアのDFは全然前に来なかったので、シンプルにタテに切っていく方が有効だと判断して、攻め方を変えた」(平)という通り、相手DFに対応して攻略したトライであった。この時点で14-14と同点だったものの、スローなペースに持ち込みたいイタリアに対して、スクラムの安定も寄与し、テンポある攻撃ができて、日本がトライを重ねる展開になってもおかしくないほど、試合は完全な日本ペース。前半終了間際にSOジェームス・アレジがPGを決めて17-14と日本がリードしてハーフタイムを迎えた。
「コンタクトをもっと低く。ボールを継続し、相手のスローテンポにもしっかり対応すること。規律あるプレーでペナルティに気をつけるように」カーワンHCが指示を与えて送り出した後半だったが、時間の経過とともに、ジャパンのプレーからは前半終了間際の勢いは消えてしまう。前半の立ち上がり同様、いきなり攻め込まれてモールでトライを奪われ、イタリアが再逆転。ジャパンも何度かイタリアゴールに迫ったものの、前半のようにフィニッシュには持ち込めない。前半、安定していたスクラムも、後半12分に畠山が退いてからは、プレッシャーを受ける場面が目につくようになる。「前半を戦ってみて、日本のBKはスピードがあって危険だということがわかったので、とにかくFWのパックでプレッシャーをかけるように指示を出した」(イタリア代表ニック・マレット監督)というイタリアのスローペースを崩せないまま、17分にモールでのトライを重ねられた。22分にモールにこだわってペナルティトライをもぎ取ったものの、後半は日本らしいテンポあるアタックは不発のまま、7点差で惜敗した。
「いい経験になった」試合後、満面の笑みでそう語ったのはカーワンHC。金星こそ逃したものの、前述したとおり必ずしもベストフィフティーンとは言えない面もあったメンバーで、6カ国対抗の強豪を追いつめたことで、W杯のフランス戦に向けて、チームが大きな手応えを掴んだことも確かだろう。「課題がはっきりしたし、収穫も大きかった」欧州勢のクセのあるスクラムワークにも対応できるところを見せたPR平島久照の総括が全てを物語る、1ヵ月後を楽しみに待てる試合になったことは間違いない。