平成23年(2011)8月21日 G:秩父宮 R:ジェローム・ガルセス(FRA)
No.507★269 リポビタンDチャレンジ2011 RWC2011 NZ大会 壮行試合 アメリカ代表戦 | ||||||
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2011年8月21日 G:秩父宮 R:ジェローム・ガルセス(FRA) | ||||||
日本代表 | 20 | - | 14 | アメリカ代表 | ||
1 | 川俣 直樹(パナソニック) | 8 | 前 | 14 | 1 | マイク・マクドナルド |
2 | 青木 佑輔(サントリー) | 12 | 後 | 0 | 2 | フィル・ティール |
3 | 藤田 望(ホンダ) | 3 | エリック・フライ | |||
4 | 大野 均(東芝) | 1 | T | 2 | 4 | スコット・ラヴァラ |
5 | トンプソン ルーク(近鉄) | 0 | G | 2 | 5 | ヘイデン・スミス |
6 | バツベイ シオネ(パナソニック) | 1 | PG | 0 | 6 | バット・ダナヒー |
7 | 西原 忠佑(パナソニック) | 0 | DG | 0 | 7 | ルイス・スタンフィル |
C8 | 菊谷 崇(トヨタ) | 8 | JJ・ギャギアノ | |||
9 | 吉田 朋生(東芝) | 2 | T | 0 | C9 | マイク・ペトリ |
10 | マリー・ウィリアムス(豊田自動織機) | 1 | G | 0 | 10 | ニセ・マリファ |
11 | 小野澤 宏時(サントリー) | 0 | PG | 0 | 11 | ジェームズ・パターソン |
12 | ニコラス ライアン(サントリー) | 0 | DG | 0 | 12 | ポール・エメリック |
13 | アリシ・トゥプアイレイ(キヤノン) | 13 | タイ・エノサ | |||
14 | 宇薄 岳央(東芝) | 8 | 反 | 11 | 14 | ケヴィン・スウィリン |
15 | 上田 泰平(ホンダ) | 15 | ブレイン・スカリー | |||
交代【日】日和佐篤(サントリー)⑨、ウェブ将武(コカ・コーラW)⑮、谷口到(神鋼)⑦、堀江翔太(パナソニック)②、畠山健介(サントリー)③、平浩二(サントリー)⑫ 【ア】ニック・ジョンソン⑤、ショーン・ピットマン③、ライアン・チャップマン⑤、ローランド・スニウラ⑩、アンドリュー・スニウラ⑫、クリス・ピラー②、ティム・ウサス⑨ | ||||||
得点:T菊谷、宇薄、上田、Gウェブ、PGライアン |
8月21日。ワールドカップ(W杯)に向けた壮行試合(秩父宮)。前のイタリア戦から先発12人を入れ替えた日本代表が、主力抜きの米国に20-14で辛勝した。いわばW杯のカナダ戦を想定した相手だった。勝ったこと、けが人がでなかったことが救いか。最後のセレクションゆえ、選手の闘志が空回りした。雨でボールが滑ったこともあるが、ハンドリングミスを重ね、キックオフ、こぼれ球への対応でも遅れるところがあった。特にどしゃ降りの前半は凡ミスから快足WTBに走られ、2トライを献上する。
ひとことで言えば、「したたかさ」「厳しさ」に欠けるのだ。勝負弱いというか、80分間を通しての集中力が足りないのだった。
ヘッドコーチのジョン・カーワン(JK)も少し不満顔だった。「まあまあです。平均的な試合だった」 これで強化試合がすべて終わった。あとはW杯メンバー30人の選考である。「準備としてはいい具合にできた。ぼく、きょうの夜、たぶん朝まで寝ないで最終メンバーを判断する」
ハーフタイム。日本のロッカー室はいつになく、怒声が飛び交った。JKがカミナリを落とす。「まだまだいけるだろう。ワン・モア・ラック。もっといけ!」
主将菊谷が続く。「やるのはおれたちだ。プライドを持とう。やってきたことを信じてやりきろう」 檄が効いたのか。後半は日本のテンポがよくなった。スクラムを押しこみ、ラインアウトでも健闘する。セットプレーが安定すれば、連続攻撃も勢いがつく。
後半14分。スクラムのワンプッシュから左に回して密集を連取、途中交代のSH日和佐篤がフッカー青木佑輔を走らせ、ラックからタイミングよく順目の左へ。最後は主将菊谷が左中間に走り込んだ。日和佐と青木がからだをぶつけ合い、菊谷が右手を突き上げる。
ゴールも決まり、15-14と逆転する。青木が顔をほころばす。「日和佐に代わったので、ずっと(ラックからの)アタックを狙っていました。あの時は“チャンスだ”と。FWからどんどんリズムをつくりたかった」
後半中盤。赤色キャップのプロップ畠山健介、フッカー堀江翔太が交代出場して、さらにFWの動きが活発になった。
後半26分。ラックから右に回し、パスをつないでWTB宇薄岳央が右中間にトライ。あとは組織的な防御で反撃をしのぎ切った。
内容が悪くとも、勝って反省できることが大きい。この日の課題はプレーの精度とキックオフ処理、ラインアウトである。
確かに日本代表は強くなった。パシフィック・ネイションズ杯で初優勝し、W杯初戦のフランス戦を想定したイタリアとも互角の試合をやった。個々のフィジカル、タックル力はアップし、組織的な防御も堅くなっている。戦術、戦略の理解度は高くなった。
でもチームとしてはまだまだ、である。W杯で勝利を得るためには、より精度アップ、よりスピードアップが求められる。とくにミスの連続は命取りになる。
JKは言う。「ディフェンス面でネクストレベルに上がれたと思う。初戦(フランス)、2戦目(ニュージーランド)は激しい試合で接戦に持ち込みたい。トンガ、カナダは勝ちにいく。ジャパンのラグビーがこれだけ成長したということを世界に示したい」
W杯(9月9日開幕・ニュージーランド)まで2週間余しかない。短期間でできることといえば、基本プレーの徹底とセットプレーの確認、そして意思統一である。