平成24年(2012)6月10日 G:秩父宮 R:パスカル・ガウゼル(FRA)
No.517★279 第7回IRBパシフィック・ネーションズカップ 第2戦 トンガ代表戦 | ||||||
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2012年6月10日 G:秩父宮 R:パスカル・ガウゼル(FRA) | ||||||
日本代表 | 20 | - | 24 | トンガ代表 | ||
1 | 長江 有祐(リコー) | 10 | 前 | 17 | 1 | テヴィタ・マイラウ |
2 | 木津 武士(神鋼) | 10 | 後 | 7 | 2 | イライシア・マアシ |
3 | 山下 裕史(神鋼) | 3 | キシ・プル | |||
4 | 真壁 伸弥(サントリー) | 1 | T | 2 | 4 | ジョシュア・アフ |
5 | 大野 均(東芝) | 1 | G | 2 | 5 | ジョセフ・トゥイネアウ |
6 | 望月 雄太(東芝) | 1 | PG | 1 | 6 | シティヴェニ・マフィ |
7 | 佐々木 隆道(サントリー) | 0 | DG | 0 | 7 | シオネ・ヴァイオモウンガ |
8 | ヘンドリック・ツイ(パナソニック) | 8 | ヴィリアミ・マアフ | |||
9 | 日和佐 篤(サントリー) | 1 | T | 1 | C9 | タニエラ・モア |
10 | 小野 晃征(サントリー) | 1 | G | 1 | 10 | カート・モラス |
11 | 小野澤 宏時(サントリー) | 1 | PG | 0 | 11 | アラスカ・タウファ |
12 | 立川 理道(クボタ) | 0 | DG | 0 | 12 | ジョセフ・ヴァカ |
13 | ニコラス ライアン(サントリー) | 13 | アリパテ・ファタフェヒ | |||
C14 | 廣瀬 俊朗(東芝) | 13 | 反 | 12 | 14 | シアレ・ピウタウ |
15 | 五郎丸 歩(ヤマハ) | 15 | ヴィリアミ・イオンギ | |||
交代【日】有田隆平(コカ・コーラW)②、畠山健介(サントリー)③、伊藤鐘史(神鋼)⑦、菊谷崇(トヨタ)⑧、仙波智裕(東芝)⑩ 【ト】パウラ・カホ⑧、マフィレオ・ケフ⑬、オサイアン・P・コロアマタンギ⑥ シンビン=ケフ(ト) | ||||||
得点:Tツイ、五郎丸、G五郎丸2、PG五郎丸2 |
前半立ち上がりの日本は攻撃のキープレーヤーとしてSO小野がNO8ツイ、CTBニコラスをタテにぶつけながらトンガDFのギャップを探すが、フィジカルで優るトンガのダブルタックルに阻まれてうまく前進を図れない。ブレイクダウンでの球出しにも苦労し、スローボールが多くなるFWのアタックはトンガの出足良いDFにタックル、インターセプトを浴びて攻撃の糸口がつかめない。それでもこの試合にかけるアグレッシブさと粘りで少しずつ球出しのテンポが上がってくると、トンガDFの薄いスペースにボールが廻り出す。ボールが日本のリズムで動き出した13分、トンガゴール前でラインアウトを獲得し、モールを押し込んでヘンドリック・ツイがトライ。トンガFWの激しい抵抗でモールが崩れかけても、落ち着いてボールの位置をずらしながら日本FWの固まりがトライを奪った(7-3)。しかし直後の15分、日本ゴール前スクラムで「8・9」からSHタニエラ・モアにスペースを走られ、タックルの背中越しにブラインド側からSOのインサイドに走り込んだブラインドWTBアラスカ・タウファにボールが渡りトライ(7-10)。続く24分にも空いたオープンスペースをSHモアに走られ、タッチライン際で待つHOマアシとのコンビプレーからトライを奪われる(10-17)。
後半、日本は気持ちを切り替えた。FWのショートサイドアタックでテンポを上げ、BKラインに残るNO8ツイがトップスピードでインサイドに切れ込みビッグゲイン。そこで得たPGをFB五郎丸が狙うも、ボールがポストに当たり、あきらめずに走り込んだ五郎丸が自ら拾いDFを突破してトライ(17-17)。勝利にこだわる日本のテンポはここから一気にアップ。ブレイクダウンでの早い球出しにこだわり、2人目の判断、求めてきた動きが機能を開始する。攻撃が良くなるとDFも前へと動き出し、スペースを失い苦し紛れにプレーするトンガからボールを奪う。しかし後半21分、連続攻撃でゲインできずにキックを選んだSO小野のプレーにBKの足が止まり、チェイスのない日本の外側スペースをトンガがやすやすとボールを運んでトライ(17-24)。この最大のピンチに日本は前回ワールドカップのキャプテン菊谷を投入。後半開始直後からゴールポスト裏で入念なアップを繰り返し、出番を待つ菊谷への期待は高まり、秩父宮のファンは大歓声で迎え入れた。「勝ちたい」という選手の気持ちは観衆にも伝わる。この日のブレイクダウンへのこだわり、アタックでのシェイプ、ボディポジション。エディー・ジョーンズHCの目指す「ジャパンウェイ」の追撃をスタンドは信じた。NO8菊谷の中央突破からテンポアップした日本の執念にトンガが反則を繰り返す。29分にFB五郎丸のPGで4点差に追い上げると、30分にはトンガCTBマフィレオ・ケフがペナルティでシンビン退場に。残り10分をどう戦うか。秩父宮に「ニッポン!」コールがこだました。最後の10分、CTBに仙波を投入し、SOに立川を上げて一人少ないトンガDFを崩しにかかるが、大事な局面でミスが重なり、ショートサイドで時間を使ったトンガに逃げ切られた(20-24)。勝利のプランを授けたジョーンズHCにとっても、スタンドの観衆にも悔しい敗戦だった。4月からの短い期間に強化できたものの、まだまだ足りないものが選手たちの心の奥に刻み込まれた試合だった。スタートしたばかりの日本代表の道は険しい。しかし、一歩ずつでも成長しようとする選手たちのひたむきな姿を、秩父宮の観衆は暖かい拍手で讃え続けた。(照沼 康彦)