国道二三〇号線(石山通り)沿いに豊平川をさかのぼると、藻南橋の右岸側から石山にかけて、灰白色の岩壁がみられる(写真2)。この垂直にきりたった岩壁をつくる岩石は、「札幌軟石」とよばれ、明治時代から採石され、建築用石材、石垣、木造家屋の土台、墓石などとして利用されてきた。札幌軟石を使った建物は、落ち着いたあたたかみのあるもので、長く人びとに親しまれたが、時代の流れとともに取り壊されたり、移設されたりして、現在市内で見ることのできるものは少なくなった。代表的なものは大通西一三丁目にある札幌市資料館(旧札幌高等裁判所、写真2)、すでに消え去ったものでは、旧札幌郵便局、旧札幌電話交換局(愛知県犬山市の「明治村」に移設復元)などである。また、石垣としては時計台のものがまだ健在である。
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写真-2 札幌市資料館及び常盤の石山軟石採石場(南区常盤) |