またこの頃、貫属一同に「心得書」が渡されたらしい。これは九カ条にわたるもので、序文では、「平常之時ハ開墾ヲ勤メ、有事之日ハ護衛之兵ナレハ其事業尤強健ヲ本トシ、笱(かりそ)メニモ柔惰之挙動ナキヲ要スヘシ」とし、彼らの任務を「開墾」と「護衛之兵」としている。東京府貫属に予定していた本府防衛を、開拓使では彼等に転化したことをあらわしている。九カ条の中では、取締の支配に従うこと、三年間扶助をすること、法令・法度を遵守すること、雪積中も開墾の準備をすること、開墾地は自地となるので出精に励むことなどが述べられている。
開拓使では貫属へ取締などを置き監督を強める一方で、共同集団による開墾に期待していたとみられる。