この貸付会所から資金を提供されて設立運営している付属の商社に、北海道産物商会、運漕社、開通社等がある。北海道産物商会は、北海道の産物の委託販売・産物担保貸出し・荷為替貸付などの諸業務を、運漕社は北海道移出入産物の回漕を、開通社は清国直輸出を営んだ。これら商社は幕末以来の産物会所の業務を受け継いだものである。だがその経営は順調ではなく、特にこの貸付会所の用達として運営の主体となっていた小野・島田両組が七年末破産したことで、貸付金の焦げ付きの累積が明らかとなり、徴収見込高がかなり減少した。そのため貸付残余金の徴収は貸付会所用達の負担となり、十二年一月ついに三貸付会所は閉鎖されるに至った。会所の未徴収金は実に一二六万七九六〇円八三銭五厘であった。札幌本庁がその整理に当たったが、用達らに破産者もあったため、十四年現在の用達四人の残金二七万二八〇〇余円に対し、旧公債証書額面をもって完済を許可して完了した。