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区の就学率

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 就学率の向上は、この時期も教育行政にとって依然として大きな課題であった。まず区内であるが、比較的初期の就学率を示すと表5のとおりである。ようやく女子も五〇パーセントに達し、男子は四人のうち三人は就学するようになっていた。しかし札幌区の場合、就学に関する意識よりも、増加する学齢児童に施設が追いつかないことの方がむしろ問題で、『北海道教育会雑誌』第六号(明治二十四年九月)には「区内各小学校生徒満員」と題して、就学児童数の増加により、本月のごときは各校各級とも一人も容れる余地がなく、特に女子小学校は志願者多数のため、唱歌教室を一般教室に転用することとしたが、一教室平均七〇人となる見込で、これでは管理も授業も行き届かないと記し、「区内小学校の増設は実に急務中の急務」と結んでいる。事実、二十五年の就学率は、男子六二・四九パーセント、女子四四・五二パーセント、男女計五四・三五パーセントで、二十二年に比し約一〇パーセントの低下となっており、特に男子にそれがいちじるしい(北海道教育雑誌 一)。なおこれには男女別就学者数はないが、男女合計の就学者二七二一人、不就学者二二八□(五カ)人、計五〇〇六人となっている。ただしこの史料は九月発行の号に掲載されたもので、大火以前か以後か明確でないが、いずれにしても施設不足が就学率に大きな影響を及ぼしていることは否定できない。
表-5 札幌区内児童就学状況(明治22年)
就学不就学就学率
977人324人1301人75.1%
452 451 903 50.1 
1429 775 2204 64.8 
北海道毎日新聞』(明治23年3月7日付)より作成。

 三十一年における就学者数および就学率は表6のとおりである。二十二年に比較すると、学齢児童数は二倍以上になって区の人口増に照応しているが、就学率の方は、ほぼ一〇年経過したにしては率の向上は必ずしも多くはない。就学率の問題がほぼ解決されたのは、次巻の時代である。
表-6 札幌区内児童就学状況(明治31年)
就学不就学就学率
2023人510人2533人80.0%
1270 852 2122 61.0 
3293 1362 4655 70.7 
北海道教育週報』185号より作成。