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各宗派の仏教布教

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 このような定例的な諸行事のほか、各宗派ではたとえば法主等の来札による説教等の行事、あるいは寺院が主体性をもった団体等の結成を基盤とする活動を通しての布教も多くみられる。
 法主等の来札では、真宗大谷派の現如法嗣が、すでに明治三年に続いて十四年七月に来札、また三十二年には新門跡の彰如(光演)が蓮如上人四百回御遠忌のため八月に来札している。北海道炭礦鉄道株式会社が、参詣者に二割引の乗車券を発売するほどの盛況であった。このほか同派では二十三年八月に南條文雄博士らが来札、数度にわたる演説・説教を行い、さらに二十八年には門跡の四男超真院殿の随行として再び来札し、三十一年にも来札した。
 真宗本願寺派では二十年八月に西本願寺法主明如が来札し、また三十一年には明治初年大教院分離運動の中心となるなどで著名な島地黙雷が来札した。曹洞宗は三十年十月に管長森田悟由(性海慈船禅師)が来札し、これらはいずれも檀信徒に迎えられ、非常な盛事となった。
 付属団体としては二十一年四月に西本願寺別院に少年教会が結成され、八歳から一五歳くらいの少年を集め、道徳品行向上を目的として月二回の演説会を開いた。また二十六年三月には中央寺が仏教少年会を結成、同年暮ころには会員四〇〇余人に達し、さらに青年部を設ける必要があることが報じられている。このほか、西本願寺別院では三十一年にのちの札幌仏教婦人会の前身である札幌婦人教会が結成されるなどの動きがあり、また寺院を中心とした各種の講も結成された。