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代表的な石造建築物

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 三十二年、大通西二丁目に逓信省の設計で石造二階建の札幌電話交換局が落成する。現在愛知県犬山市内の明治村に移設された遺構(重要文化財)がそれである。四十三年十一月札幌郵便局舎が完成、国内最大の石造建築であった。四十二年、大通西三丁目に石造二階建の北海道拓殖銀行本店の行舎が完成する。矢橋賢吉設計のルネサンス様式の本格的な洋風建築である。大正十五年八月、大通西一二丁目に司法省設計の札幌控訴院の石造外装の庁舎が完成する。この庁舎はレンガ造のくだりでふれたように、外壁が石造、室内側がレンガ造、二階床と階段が鉄筋コンクリート造の構造形式で、わが国では類例のない建築である。わが国の建築構造の過渡期を象徴するような珍しい形式である。外壁の石造外装は、大通西二丁目の札幌郵便局の石造局舎と向き合うため、意匠を調和させる考慮から特に採用したと伝えられている。

写真-9 明治42年に新築された北海道拓殖銀行(石造)