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予選による議員選挙

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 第一回議員選挙では元同志会派と中正会による激戦となったため、第二回以降の選挙では予選方式が取り入れられた。予選は、各団体や有志の推薦を受けた者の中から、定数と同じ数の候補者を予め選ぶというものである。したがって予選候補者はほぼ間違いなく当選でき、選挙による混乱を避けることができた。会議所が予選を取り入れた理由は次のようであった。「吾人実業家たる者は一般選挙界の通弊とする粗暴競争の狂熱に冒されず冷静深慮能く其適材を挙げ以て我商工界に於ける枢要機関の運用をして益々妙ならしむ」(北タイ 明42・2・11)、つまり、粗暴な選挙戦にまきこまれることなく、予め適材なる人物を挙げることが、会議所活動の促進につながると考えられたためである。
 議員は定数を三〇人、任期は四年とし、二年ごとにその半数を改選(定款第六、八条)し、改選と同時に死亡、退任等による補欠選挙も行われた。大正五年、議員の半数改選は廃止されたため(商業会議所法の改正 法律第三九号)、それ以降すなわち第六回目からは四年ごとに選挙が行われた。またこの回からは、議員を経費の負担額三分の一ずつ三等級に分け、三〇人の定員も各等級から一〇人ずつ選出された。明治四十年の第一回選挙から、大正十一年までに行われた選挙をまとめたのが表23である。議員選挙における支持母体と、定員に対する候補者数から選挙戦の模様をみてみよう。
表-23 第1~7回会議所議員選挙
選挙年月日定員候補者数候補者を出した団体
1明40.2.1330人60人中正会(30) 元同志会派(30)
2明42.2.1315人17人札幌実業組合聯合会(15)
3明44.2.1417人
(補欠2人)
17人札幌実業組合聯合会(12) 札幌実業青年会(4)
中正会(5) 札幌質商組合及札幌古物商組合(3)
4大2.2.14 
16人
(補欠1人)
16人札幌実業青年会(9) 薬業組合(1) 惟信会(1)
南四条懇和会(1) 東方和合会(1)
銅鉄商組合(1) 札幌実業組合聯合会(2)
5大4.2.1415人15人札幌実業組合聯合会(15)
63級 6.2.20
2,1級 6.2.21
1級10人
2級10人
3級10人
1級10人
2級11人
3級10人
札幌実業組合聯合会
札幌工業会
札幌公友会
73級 10.2.20
2,1級 10.2.22
1級10人
2級10人
3級10人
1級10人
2級10人
3級11人
札幌実業組合聯合会
札幌公友会(政友会系)
札幌実業青年会(憲政会系)
1.「候補者を出した団体」の( )内の数字は候補者数。
2.各団体からの候補者総数が選挙候補者数と合わないのは,複数の団体から推薦を受けた候補者がいたためである。
3.『北タイ』より作成。