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札北馬鉄と沿線住民

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 ところが春の営業再開直後、沿線住民である鉄道以北有志が、軌道を敷設した道路の整備上の問題など札北馬鉄の経営の仕方について七項目を決議した。その取り締まりについて、実行委員を選出して区役所、札幌警察署へ交渉した(北タイ 明44・4・6)。この活動はさらに篠路村、当別村、石狩町字花畔、同字樽川、札幌村字中通、同字烈々布と連合して、次の要求六項目を決議した。
、石狩街道札幌茨戸間馬鉄の両側鉄軌面と道路面と平坦に幅三間以上相当の砂利を敷き完全に修復する事
、軌道内外馬鉄敷地内は監督官庁の命令書中第三条第三項に基き充分の監督を官庁へ請願する事
、雪中軌道内の降雪は掘り上ぐると同時に他へ運搬放棄する事
、製麻会社前の狭隘なる堤防地に停留所を設けたるため馬鉄会社の車体の置場なく自然車両を線路に放置し通行の妨害となり危険砂利を以て(ママ)製麻会社前の停留所を北一五条以北に移転を要求する事
馬鉄の営業時間外は一定の場所を定め客車貨車を牽き入れしめ通行の妨害を為さしめざる事
馬鉄の馬丁及工夫は通行の人馬車に対し粗暴の行動あるを以て之を厳重に取締を要求する事

 この六項目は前記の七項目をまとめたものといえる。そして関係町村を六区に分けて、各区一人の役員を選出し、陳情書を道庁に提出することにした(北タイ 明44・4・16)。この不満を示す行動に対し、北海タイムスでは会社側の言い分も伝え、一方的に会社側の責任とは捉えていない。この問題は札北馬鉄側が、道庁の検査で一部通過しなかった部分を残したまま営業を開始したことも一端となっていたようだ(北タイ 明44・4・11)。その後道庁の再検査を行い(北タイ 明44・4・21)、六月二日に営業認可され(北タイ 明44・6・3)、三、四日の試運転の後(北タイ 明44・6・3)、中旬頃に営業を開始する広告を出した(北タイ 明44・6・10)。
 一方、住民活動は四月二十八日道路保全同盟会という名称で、再び前記要求事項について協議を行い、再度各地区から委員を募るなどをおこなった(北タイ 明44・5・16)が、その後の活動については不明である。また北八条東一丁目石狩街道人民三〇人が連署して、北一〇、一一条に停留場および倉庫設置方を交渉するという行動もあった。これについては会社側は了解し、設備をなしたようである(北タイ 明44・4・6)。