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札幌の米価高騰と区民

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 札幌の米の小売価格は、七年一月段階で白米一石二七円一〇銭(地元白米一石二五円七〇銭)であったが(北タイ 大8・1・15)、五月に入ると三三円となり、八月には五〇円近くまで高騰した(北タイ 大7・5・12、8・15)。途中五月七日には、農商務省が米価調節のために外米管理令に基づき外米指定発売を決定した。これにより、札幌商業会議所では六月十一日付でまず製造工業会社に外米斡旋を開始している(北タイ 大7・6・13)。
 折しも札幌は、開道五〇年記念北海道博覧会が八月一日から開催され、博覧会景気も手伝って米価問題に対して比較的冷静であったようである。しかし、八月十五日の『小樽新聞』には、「札幌でも廉売を開始した」の見出しとともに、十四日朝札幌の南一条通や停車場通の電柱に「米価騰貴に付き来十五日大通に於て区民大会を開く集合せよ」の張り紙がされていた模様が報じられている。区民大会開催の呼び掛けを主催したのがどういう人びとであったか不明であるが、他都市の米騒動を懸念してか、すぐさま張り紙は当局によって剝がされたようである。おそらく安寧秩序を乱す恐れありという理由で開催禁止となったと考えられる。従来札幌には米騒動は起こらなかったとされているが、米価暴騰に対して札幌区民が区民大会という形で示威行動を起こそうとしていたことは事実である。ただ当時の新聞は、「米騒擾記事禁止令」のため真相を報道できなかったことも確かである。

写真-17 米価騰貴問題について,区民大会開催の動きもあった旨を報ずる新聞
(小樽新聞 大7.8.15)