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新聞小説

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 前巻に引き続き、『北海タイムス』本紙に掲載された新聞小説の一覧を掲げる(表1、一部道毎日)。前巻と同様に本格的な考察は今後のこととして、ここでは著者について気の付いた若干を指摘するに止めたい。
表-1 北海タイムス連載小説一覧(明治33年~大正11年)
No.タイトル作者連載期間備考
1妻復讎苔園居士明治33.1.23~4.1258
2暗剣殺ひで吉33.4.6~(5.12)(16)
3読切小説 春子姫重の舎33.4.221
4続箱崎文庫太平樓主人33.4.24~7.2961
5硝煙弾雨重の舎主人33.9.91
6夕紅葉苔園散士33.11.3~34.4.270
7黒牡丹潜龍堂34.1.51
8妹と妹唐扇34.2.28~3.2715
9義賊太平樓主人34.4.20~(6.25)(39)
10踏切番(短編小説)なにがし34.7.261
11難波侠客東京桜巷生34.11.16~(12.11)(14)
12お仙が森麗水35.2.1~4.950
13探偵実話 胃中の小指菊の舎35.4.10~10.15120
14血汐の手痕桜巷生35.8.31~11.2970
15松浦石魂録35.11.31~36.4.2384
16東洋立志談 海國男子有髪35.12.19~36.5.3101
17田舎節藤陰隠士36.5.5~6.1333
18探偵実話 闇黒地獄あなかしこ編36.6.14~(12.18)(143)
19短編小説 田園涙星子36.11.191
20短編小説 風慘憺井上四郊36.12.21
21短編小説 義憤涙星子36.12.151
22短編小説 片われ月なにがし37.1.11
23北海奇談 剛膽義膽あなかしこ編37.1.1~11.5148
24三人男謫仙37.1.5~1.2113
25愛萬鋒美登生譚37.11.30~(12.8)(5)
26戦争文学 軍國の少女井上四郊 作38.1.11
27女可恐奴之助38.6.18~39.1.26131稲岡奴之助子
28真潮黒潮霜川39.2.14~(7.1)(104)
29霹靂火奴之助39.7.10~10.2786
30迷の淵東都 菊の舎主人39.10.29~40.2.21100
31母の仇一つ家 北村片雲39.12.13~40.2.442
32短編小説 廊下の君泉鏡花40.1.3、40.1.52
33寒紅梅泉斜汀40.2.22~7.1097作者病気のため前編のみ
34機一髪東京菊の舎主人40.5.31~9.390
35慘澹東京菊酔山人40.9.6~41.2.22148
36微笑日高国 一笠生41.1.11懸賞小説一等
37衝突京都 小田すみ子41.1.11懸賞小説二等
38涙痕東京 稚松子41.2.23~7.12130
39奴之助41.7.13~10.31106
40かたみの梅黒頭巾41.11.1~42.4.7125
41心と心菊酔山人42.4.8~5.2140
42浮浪児徳田秋聲42.5.23~7.2664
43袖の香黒頭巾42.7.27~12.9129
44妻と富新田靜灣 作42.12.10~43.3.1580
45妾腹徳田秋聲43.3.16~6.2291
46走馬燈黒頭巾43.6.23~11.12125
47烈婦小市黒頭巾43.11.13~12.2440
48磯の松風渡邊黙禪/遠藤柳雨44.1.3~4.2090
49其の夜かよ代子44.3.241懸賞小説三等
50戀と縁徳田秋聲44.4.22~8.17115
51露撫子埋木庵44.8.18~12.3100
52濱千鳥橋本埋木庵44.12.4~45.5.25160
53愛と財新田靜灣45.5.26~1.11.23160
54乃木の下露埋木庵大正1.11.25~2.7.2170
55小説乳屋の娘塘雨庵2.1.13~1.215
56七化八變渡邊黙禪2.7.3~12.29140
57諒闇明の春小栗風葉3.1.1~1.84
58春風閣渡邊黙禪3.1.3~5.2110
59女禁制黒頭巾3.5.3~10.29166
60執着桃仙房3.10.30~4.4.28155
61お雑煮黒頭巾4.1.1~1.74
62紅蓮白蓮三嶋霜川4.4.29~11.12189
63親子の愛前田曙山4.11.13~5.3.19121
64妹背鑑松居松葉5.3.20~10.6181
65やたら縞廣津柳浪5.10.7~6.1.2281
66鶴子姫渡邊黙禪6.1.23~8.20173
67藤袴松居松葉6.8.21~7.4.10175
68闇又闇三嶋霜川7.4.11~8.1.25257
69母無き子前田曙山8.1.26~7.3151
70蠅取蜘蛛黒頭巾8.7.4~9.1.28187
71第十番大吉大橋青波9.1.29~1.313
72彩どる雲前田曙山9.1.31~8.18170
73侠血義血 天竺浪人蘭亭主人9.4.1~7.20108
74極楽鳥渡邊黙禪9.8.20~10.4.6210
75心の光岡本霊華10.1.11
76露の秘曲武田鴬塘10.4.7~10.3180
77廻る泡海賀變哲10.10.4~11.2.20130
78短編小説 旭光照波島川七石11.1.191
79哀戀悲戀武田鴬塘11.2.21~8.25182
80處女の闘ひ泉斜汀11.8.26~11.2585作者病気のため中止
81壓迫西村柳葉11.10.30~12.6.19224
1.『北海道毎日新聞』『北海タイムス』本紙より作成(付録分省略)。
2.連載期間の( )は確認された最初あるいは最終の日付を示す。

 まず前巻の時期に引き続いて、徳田秋声が執筆しており、また比較的著名な作家としては泉鏡花・斜汀、小栗風葉、廣津柳浪などの名がみえる。このほかのマイナーな作家としては、稲岡奴之助(明治六年京都生、村上浪六門下)、新田靜灣(明治十一年生)、三嶋霜川(明治九年生、徳田の紹介で硯友社社員)、前田曙山(明治四年生、硯友社系作家として出発)、渡邊默禪(明治三年生、明治末まで新聞記者)、岡本霊華(明治十六年生、小栗風葉門下)、武田鴬塘(明治四年生、硯友社系として出発)、海賀變哲(明治四年生、札幌農学校卒、『文芸俱楽部』等の記者)などがあげられる。比較的硯友社系が多いような印象を受けるが、今後の問題としたい。