大小下水や暗渠下水は、毎年のように新設や修繕工事が行われ、順次整備されていく。しかし下水は、「幅員同一ナルガ故ニ、一旦強雨ノ襲来アラハ汚水ハ忽チ街路ニ溢流氾濫シ、又平時ニアリテハ汚水ノ天然蒸発ト地中浸透ヲ免レス」という状況であった(札幌区下水道工事計画説明書 大正五年区会会議録)。
大下水については、大正十一年以降、従来の木造下水溝を廃止して、永久構造の下水道を築造することにし、西四丁目通の南二~四条間など、一部の重要路線から改善がなされるようになった(札幌市史 政治行政篇)。たとえば表18の十三年度に出てくる「鴨々川行啓道路石山入口間(三尺管)石山線行啓連絡南二条間(二尺管)コンクリート管延長一六二〇間」は、十三年には寄付金の関係上未施行であったが、十四年やはり寄付金の関係で着工は遅れたが年内に竣工した(札幌市事務報告)。この区間の施工状況を詳しく見ると、「創成川取水口大水門下流約二十間の地点から鉄筋コンクリート管を敷設し、西七丁目線に至って北折し南十四条を西進、西十一丁目線に至り北進し南二条既設の木造下水溝に取付けた」(札幌市史 政治行政篇)ものである。また十四年度に大下水改良事業が実施された。それは、西三丁目通の北一~五条間の延長二八〇間を鉄筋コンクリートとするものであった(大正十四年度札幌市歳入出予算)。
小下水のコンクリートへの改良は、工事費の半額を地主の寄付を求めて施行していたが、十二年頃から「其成績漸く一般市民の認むるところとなり」、改良の希望数が十二年四七件、十三年八四件と増加した。さらに十二年からは地方費の補助も受けるようになった(札幌市事務報告)。大下水の新設について予算書から見ると表18のようになっている。
表-18 大下水の新設(大正期) |
年度 | 事項 |
大 4 | 北5西6~7間延長63間。東5南1~大通間右折大通東7~豊平川間延長260間 |
7 | 豊平町本通の内,甲個所延長120間。同左乙個所延長55間。西9東側南2~大通間延長110間。西3北大通~北1間延長60間石造下水蓋板張。西3北大通~南6間延長408間6分木造大下水蓋板張。西4南6~北5間延長712間7分石造下水蓋板張。 |
10 | 東2北5間,北8東2~4間,東4北8~11間,東4創成川間延長785間。南2西11~14間,西14南2~6間延長372間及暗渠7ヵ所共延長442間。豊平本通4号用水~3号用水間新設,3号用水豊平本通~平岸村界間延長901間。 |
11 | 大下水取入口堰堤20間水路長さ20間取入口個所真駒内川。大下水取入口水門長さ3間深さ12尺取入口個所精進川。西12大通~鉄道線路間延長600間,西6遊園地~南7間延長294間。 |
12 | 南7西6~9間延長218間,西5線北9~12間及右折北12西1~5間延長511間,豊平4号用水入口埋樋幅3尺深さ2尺4寸延長46間 |
13 | 西5北12~20間延長700間,南大通西14~18間及右折北1間延長463間(木造),白石町4号用水路片側延長124間4分,白石町2号連絡線延長149間,鴨々川行啓道路~石山入口間(3尺管)石山線行啓連絡~南2間(2尺管)コンクリート管延長1620間,西6南6~7間延長61間 |
14 | 西7南7~10間 600間鉄筋コンクリート管製 |
各年度『札幌区・市予算書』より作成。 |