国内で初めて治安維持法の適用となった京都学連事件の余波が、農学部農業経済学科の学生を中心に組織されていた北大の社会科学研究会を襲った。札幌地裁検事局の鱸検事正の指揮で、大正十五年四月、「不穏パンフレット事件」として高倉新一郎・東隆らを検挙したのである(不起訴処分)。特高警察側では、同時に労働運動の弾圧を画策し、札幌署の豊田清高等主任らによって、札幌合同労働組合や政治研究会北海道支部の幹部宅の家宅捜査と検挙がなされている。『小樽新聞』は「苗穂工場に吹込む赤化教育/労働問題の研究会を設け発会式挙行の段取り」(大15・4・6)などと報じた。