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札幌署の陣容

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 昭和十九年二月現在の『北海道庁職員録』で札幌署の規模・陣容をみると、定員は二〇三人で全道一である。警部補が主任クラスで、特高・外事・経済保安・労政のポストがある。第一線で視察や情報蒐集にあたるのは巡査部長・巡査で、「特高視察」が九人(内鮮警察を含む)、「外事視察」が四人、「経済視察」が一五人、「労政」が三人、「情報視察」が二人となっており、その合計は駐在所・派出所勤務を除くと、全署員の四割近い。なかでも「経済視察」の多さは、統制経済の進行による民衆生活・思想の指導統制の重要性が増してきていることを物語る。また、十九年五月、警備隊が創設され、札幌に一中隊が配置された。朝鮮人・中国人の集団騒擾などを想定した「非常事態発生」に備えたもので、早くも六月の住友赤平鉱業所事件で出動し、騒擾容疑の朝鮮人の検挙にあたっている。
 なお、十六年十一月、札幌地裁検事局に国防保安法施行に伴う検事一人と書記二人、経済犯罪増加に伴う検事一人と書記二人が増員となっている。