昭和二年における札幌の労働争議は、表6の九件であるが、七件は札幌合同労働組合が指導したものであった。工場労働者の争議は、三年以降大工場では労務管理が強化されたため、ほとんど起こらなかった。
表-6 昭和2年の工場労働争議 |
工場名 | 争議開始 | 参加人員 | 要求 | 関係組合 |
林産経木 | 1月20日 | 157人 | 給与全額支給 | 札幌合同 |
北海道製縄 | 1.30 | 5 | 復職解雇手当 | 札幌合同 |
日本麦酒 | 3.15 | 118 | 解雇手当総額 | 札幌合同 |
駒野製綿 | 3.15 | 45 | 保険業主負担 | 札幌合同 |
駒野製綿 | 4.15 | 44 | 前職長復職 | ナシ |
小貫鉄工 | 5.31 | 1 | 解雇手当 | 札幌合同 |
亜麻製線 | 7.10 | 7 | 解雇手当 | ナシ |
堀野家具 | 9.23 | 1 | 復職 | 札幌合同 |
三田印刷 | 9.16 | 1 | 解雇手当 | 札幌合同 |
「昭和二年経済事情その他重要事項調書」より作成。 |
昭和三年以降の労働組合の指導した労働争議は、四年五月十六日のエンゼル館争議(札幌一般労働組合)、六月二十五日の札幌乗合自動車争議(札幌一般労働組合)、六年六月上旬のエンゼル館争議(札幌一般労働組合)、八年一月の青バス争議(全協札幌地区協議会)、三月十五日の石切場争議(労働者共和会、実は全協土建札幌分会)などで、四年三月の藤屋鉄工場を最後に、工場争議は姿を消した。
全札幌労働者組合や昭和十一年三月に組織された札幌労働者組合には、争議を指導する力量がなかった。