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労働者の状態

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 『札幌市統計一班』の「工場」の項目によれば、表5のごとく、札幌市内には大正十一年に一六九(但し職工五人以上使用)の工場があり、四二九七人の職工が働いていた。表で示すごとく工場数、職工数は、途中不況期に多少減少はするものの増加傾向は著しく、大正十一年を一〇〇とした場合、昭和十二年で工場数は二四七、職工数は一七七に相当する。しかも職工数に占める男女比率は六対四で、女工の占める割合も高い。表6によって大正十三年の主な職種別賃金一日当たりを見てみると、男子の場合当時最も高給取りは熟練を要する瓦葺、煉瓦積、庭師等の職人で、三円から四円であった。また当時四五〇〇人余が働いていた工場の場合、製粉、染色、製縄工場等で働く男性職工で一円二九銭から二円、平均でも一円七五銭くらいであった。それに対し女性職工の場合、熟練を要する蚕糸繰りのみが一円五〇銭と最も高く、その他は製粉八〇銭、製綿六五銭と、男性職工の二分の一くらいの低賃金であった。工場労働の一日の労働時間は、朝六時から夕方六時までの一二時間で、その間に一時間くらいの食事・休憩時間が与えられていた。休日は一カ月に平均して三日ほどで、その他に年末年始と大祭日(紀元節・天長節など)、札幌神社の祭礼が休みというところが多かった。このため当時の労働者は日給制で、休業日には給料は支払われなかったから、工場労働者の平均月収は男性で約四九円、女性で約二〇円ということになる。
表-5 札幌市内の工場及び男女別職工数
工場数職工数
大111692,900人1,397人4,297人
 121392,7631,4484,211
 131592,9631,5964,559
 141352,7301,4784,208
昭元1552,9231,4764,399
 21832,9841,4864,470
 32283,2411,5834,824
 42703,6791,4975,176
 52403,3311,3204,651
 63232,8521,0463,898
 72613,1301,2824,412
 82643,2631,5654,828
 93063,8241,7275,551
 103034,1791,7955,974
 113774,8461,9936,839
 124175,3432,2527,595
1.職工5人以上を使用する工場。
2.史料の数字の誤りは補正した。
3.『札幌市統計一班』より作成。

表-6 おもな職種別賃金(一日当り,大正13年)
職種賃金職種賃金
養蚕165085和服仕立250  
製粉2. 000. 80製靴2. 50
製麺2. 000. 65畳刺2. 50
蚕糸繰1. 50庭師3. 00
製綿2. 000. 65活版植字2. 00
染色1. 80製本2. 00
大工2. 80製綱2. 000. 80
左官3. 20製縄1. 20
瓦葺4. 00紙函製造1. 300. 75
煉瓦積4. 00錺職2. 00
ペンキ塗3. 00電信工1. 70
下駄2. 00電灯工1. 50
硝子製造1. 50倉庫人夫2. 00
製糸1. 800. 80鉄道人夫2. 30
石鹸製造1. 500. 70荷馬車夫3. 00
洋服裁縫2. 70日雇1. 300. 70
札幌市統計一班』より作成。