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在郷軍人会

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 この会の満州事変に対する反応は素早かった。六年九月二十五日には、在郷軍人札幌市聯合会及び石狩支庁聯合会共催で、「国防講演会」が札幌市公会堂で開催され、歩兵第一四旅団長より「隣邦の状勢と帝国の国防」と題する講演が行われ、事変の際の日本軍の行動は「あく迄も自衛権の発動から出た正当防衛」である旨が力説された(北タイ 昭6・9・26)。札幌市在郷軍人聯合会では「時局の重大性に鑑み」、八年十月二十二日、市内在住の補充兵六〇〇〇人を「召集」、月寒聯隊で「模擬演習召集実施」を行うこととした(北タイ 昭8・10・17)。六〇〇〇人とは、二個聯隊規模の大量動員である。
 十一年一月二十九日には第七師団管下聯合支部大会が札幌市公会堂において行われ、二五〇〇人が軍服着用で参加した。「帝国の正義を中外に宣明」し、「国防の完備に努め国難の打開に邁進」し、合わせて「一般国民」に「皇国精神の振作を計り国際情勢の真義とを徹底せしめ」ることが決議された。慰問袋の発送なども愛国婦人会同様に行っている。在郷軍人会は、まず組織化を行い、次いで一般国民への軍国思想の注入、日本の行動は国際正義に乗っ取ったものとの強調による国策への、より一層の支持一体をはかっている。在郷軍人会の活動は、年を重ねるにしたがって大規模化された(帝国在郷軍人会三十年史)。十一年の陸軍特別大演習はそれに拍車を掛けるものだった。