ビューア該当ページ

北光幼稚園

905 ~ 906 / 1147ページ
 大正期に入り、三年五月には柴田長尾が私立二葉幼稚園を北七条西六丁目に開園した(北タイ 大3・5・21)。しかし、この幼稚園は『札幌区統計一班』の記載から判断して、翌年には閉園したと思われるが、その経緯は不明である。
 続いて、九年四月には大通西一丁目にあった組合教会の附属幼稚園として北光幼稚園が開園した。同幼稚園の設立は八年一月の組合教会の総会で決議され、同年六月に開設した教会学校(日曜学校)幼稚科がその母体となった(北光幼稚園 創立60周年記念誌)。同幼稚園の初代園長には海老沢亮牧師が就任し(北海道私学教育史)、開園当初は四〇人の園児が在籍し、毎日午前九時から正午まで保育を行った(北タイ 大9・4・26)。同幼稚園ではいち早くクリスチャンの子女以外にも広く門戸を開放し(同前)、多くの園児を集めた。

写真-13 園児募集広告(北タイ 大11.3.16)

 キリスト教主義に基づく同幼稚園の最大の行事はクリスマスであった。大正十年十二月二十四日付の『北海タイムス』の記事からその模様を紹介しておこう。「区内大通りの組合教会幼稚園では昨日〔十二月二十三日〕午後三時から美しく飾られた教室内でクリスマスの祝会を行ったが、二時過る頃からいそ/\と集ひ来た可愛らしい園児達が海老沢さんや岡崎さんを始め先生方の前でお祈りをしたり聖句の暗誦をしたり対話唱歌挨拶やその他メリークリスマス、サンタの雪、スキップ鐘の音、御人形さん抔、只もう溶けさうな笑顔で主の恵みを讃へ」た。そして、「贈り物や茶果があって短い冬の日の幻映える頃迄この楽い集ひが続いた」と同紙は報じている。