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JOlKの活動

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 昭和三年八月、札幌北海タイムス社主催の全道・樺太少年野球大会が開催された。JOIKは全国にさきがけて、この実況中継を行っている。しかし、初の野球実況放送は局内に野球中継の経験者がおらず、出場校のコーチを臨時のアナウンサーに迎えるなど、局外者の協力によって成功した(札幌中央放送局報)。また、翌年札幌競馬の実況中継を行ったが、これは日本初の競馬放送であった。他に、スキー競技(昭7)、女満別の日蝕(昭10)等の実況中継を行っている。
 JOIKは開局記念として、毎年特別プログラムを組んだり、札幌市長や札幌逓信局長を招いて記念講演会等を開催している。たとえば、開局三周年(昭6)には、それまで東京からの中継であった記念の演芸放送を廃止して、『夕張小唄、炭山節』『室蘭音頭』『樺太真岡節』等「北海道・樺太の民謡小唄総登場」といった「全くの道産演芸」(北タイ 昭6・6・2)の放送を試みている。また、五周年記念(昭8)には、「いつも耳ばかりの加入者に眼と耳から大いにサービスを注入しようといふ意気込み」で、札幌、小樽、旭川三市の加入者招待実演会を企画し、東京から舞踊の家元を呼び寄せたりしている(北タイ 昭8・6・3)。こうした記念行事の中でも、陸軍戸山学校軍楽隊の行進は「実に想像以上の歓迎を受け」た。これは昭和三年八月十四日、「道民がアッというような事業を実施」しようとの計画から実現したものである。翌十五日には、大通西六丁目に野外演奏所を設けて市民の前で軍楽演奏を行っている(札幌中央放送局報)。
 この他、自局で放送した講演や講座を編集し、出版物として刊行している(表19)。『北海道郷土史研究』(昭7)や『北海道文化史考』(昭17)は、昭和四年二月から半年、六年七月から半年間にわたって開講された「北海道郷土史講座」の放送を編集発行したものである(札幌市史 文化社会篇)。さらに、放送局専属の合唱団(札幌放送合唱団 昭9)や交響楽団(札幌交響楽団 昭9)を組織するなど、さまざまな活動を行った。
表-19 札幌放送局の出版物
題名編著者(日本放送協会)出版者刊年
札幌講演集 第1輯北海道支部札幌放送局編昭 6
北海道郷土史研究北海道支部札幌放送局編札幌冨貴堂書房昭 7
北海道水害凶作に関する特別講演集札幌放送局編昭 7
ラヂオの栞北海道支部編日本放送協会昭 8
札幌支部
「日本放送協会」事業統計 昭和9年3月札幌中央放送局昭 9
北海道文化史考札幌中央放送局昭20
道立図,中央図目録より作成。