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自治体警察への転換

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 日本の民主化を進めるために特高警察の解体などを第一弾としたGHQ・SCAPは、強力な中央集権的な国家警察の本格的改革に着手し、曲折を経ながらも二十二年十二月末で内務省の解体を断行する(荻野富士夫 戦後治安体制の確立)。
 新たに制定された警察法では、地方自治の精神にのっとり民主警察たるべく自治体警察国家地方警察の二本立てに大転換した。市および人口五〇〇〇人以上の町村は、市町村長の所轄のもとに公安委員会をおいて区域内の警察を管理させた。この自治体警察は管内の治安維持にあたり、国家権力から独立した存在となり、その財政も各市町村が負担することになった(発足当初は暫定的に国庫ないし都道府県が負担)。
 札幌市における新警察制度に向けた準備として、二十二年十二月十二日、「新警察制度に関する事項」と「新消防制度に関する事項」を担当する「警察係」が新設された(主事と嘱託各一人)。同十六日と二十一日には、やはり新設の「警察消防制度審議委員会」を開催している。二十二日の第六回定例会では、札幌市警察職員の任免・給与・服務などの暫定措置を市長が専決処分することを承認した。具体的には新制度の開始まで、従来どおりの警察部職員の例にならった。
 二十三年三月一日、市会の第二回臨時会で、札幌市警察署設置条例などの三つの条例が可決されるとともに、公安委員会委員として小寺叔輔・菅原鉄之助・今井道雄の三人の任命が同意された。委員長には弁護士の小寺が就任した。この公安委員会は、二十五年度の場合、四五回というかなりの頻度で開かれている。