この頃札幌市は急速な都市膨張が見込まれており、都市建設の水準とスピードを抜本的に引き上げていく必要があった。そこで改めて各分野の行政課題を整理し、整合的に実現していくために、昭和三十五年三月、原田市長は「主要事業一〇年計画」を策定し、市議会に提案した。事業は大きく以下の六つの分野に分けられた。①都市発展の基礎となる施設(道路・橋梁・土地区画整理・道路舗装・電車バス路線拡充など)、②住みよき街にするための施設(上下水道・河川整備・清掃施設・保健所・病院など)、③市民文化の向上のための施設(小中高校新増築・学校プール・児童会館・婦人会館・スキー場・体育館・図書館など)、④社会福祉のための施設(公営住宅・保育所・養老院・福祉施設・母子寮・公園・児童遊園など)、⑤商工業及び農業振興(金融対策・助成金交付・企業合理化指導・工場誘致・観光奨励など)、⑥市庁舎その他、である。一〇年間の事業総額三三二億七五〇〇万円の計画であった(十期小史)。なお、三十六年五月に豊平町が札幌市に合併されたため、旧豊平町地域に対する事業を中心にして計画の追加が行われている。