敗戦直後の食糧危機等の克服を目的として北海道を中心に進められた戦後(緊急)開拓は、昭和二十年(一九四五)十一月の「緊急開拓事業実施要領」の閣議決定によりスタートしたが、三十三年五月、地域開発と既存農家の経営向上を目的とした「開拓事業実施要綱」の制定によって緊急開拓事業から転換する。そして、その後の日本社会の高度経済成長を背景に、昭和四十年代に入ると政府は戦後開拓を収束する基本方針を打ち出し、一般農政の中へ移行させていった。このようにして開拓組織や開拓者の負債整理が完了した昭和四十八年度をもって戦後開拓は終了する(北海道戦後開拓史 昭48)。だが、戦後の緊急開拓事業には、拓北農兵隊に代表される敗戦末期の都市戦災者疎開政策としての前史があり、拓北農兵隊が戦後は拓北農民団と改称されたように、開拓事業そのものは連続して行われている。