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労働組合法制定と労働組合

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 昭和二十年(一九四五)九月三十日、大日本産業報国会と道支部などの下部組織が解散した。中国人、朝鮮人労働者による待遇改善要求や帰国促進運動、GHQの民権自由制限撤廃指令などを背景にすでに地殻変動が起こっていた道内大手炭鉱では、十月下旬以降、政府の労働組合法制定の動向も受けて事業所別労働組合が続々と誕生し、外国人労働者の集団帰国が続く十二月九日、二二組合・五万人の北海道炭鉱労働組合連合会(北炭連、のち北炭労、全炭道協)が結成された。財閥台頭や全体主義的国家再建を阻止するための「民主化」政策の一環であるGHQの労組助長方針と、十二月二十二日の労働組合法公布により他産業での組合結成も急速に進み、二十年十二月末現在の道内組織数は一〇四組合・八万五〇〇〇人(うち炭鉱が四〇組合五万五〇〇〇人)となった。
 わが国で初めての労働組合法(旧法)は、警察官・消防職員・監獄勤務者を除いて、官公吏や教員などを含む賃金収入で生活するすべての勤労者に団結権、団体交渉権及び争議権を保障し、使用者による団結権侵害には刑罰をもって臨むなどの内容をもつ画期的な労働立法であった。翌二十一年三月の同法施行後、国家資本傘下の官業や官公署、公立学校でも労組結成の勢いが加速し、同年末の道内組織状況は一四三九組合・三〇万二八九二人となり、二十三年九月末には二六三〇組合・四〇万七〇六九人に達した(表18)。
表-18 敗戦直後の札幌市内産業別単位労働組合数及び組合員数

年次等

産業
昭和21年4月末昭和22年9月末昭和23年9月末
組合数組合員数組合数組合員数組合数組合員数
製造工業338,5967610,6639913,742
建設工業7312181,882272,007
ガス水道電気業427081,49051,946
鉱業1535610621
運輸通信業114,543249,662209,837
商業8738326,895483,075
公務団体自由52,0542913,8725214,062
その他113,896124,09385,316
8020,40920448,91326950,606
全道の総数1,355217,6982,306383,0162,630407,069
全道に占める
札幌市の割合
5.9%9.4%8.8%12.8%10.2%12.4%
『日本労働組合名鑑』『北海道労働組合名鑑』各年版より登録単位組合を抽出し作成。印刷業は<製造工業>,新聞発行は<運輸通信業>,サービス業は<商業>に分類。<その他>には札幌進駐軍関係労組(21年2,267人・22年3,655人・23年3,596人)が含まれる。また,昭和22年及び23年の数値には,札幌市以外の職域を含む組合が入り交じっている。全道の総数は『資料北海道労働運動史』による各年6月末現在の数値である。