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青少年対策

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 二十年代後半から、青少年に有害と考えられる図書、広告が氾らんしてきたのに対処し三十年四月、北海道青少年保護育成条例が制定され、指導取り締まりが強化された。青少年の非行問題は、二十六年のピークを境にやや減少していた。三十三年七~八月に札幌・小樽を中心に北海道博覧会が開催され、当初その期間中のみ青少年補導センターが臨時的に設けられた。しかし、その間の補導実績において依然として漸増悪質化の傾向がみられたことから、青少年非行の早期発見、早期補導の見地からさらに継続して設置をみた。街頭補導は、補導教師による巡視、児童委員・保護司・青少協地区委員・BBS(Big Brothers and Sisters Movementの 略称。「兄」や「姉」のような身近な存在として、少年たちと一緒に遊んだり、悩みの相談にのったり、非行少年の立直りの支援運動。昭22京都で設立され、全国組織となる)会員・関係機関職員・警察官から編成する補導班の巡視、婦人児童委員及び婦警から編成する補導班の巡視、補導教師及び児童委員から編成する補導班による特別巡視など、状況に応じて随時巡回実施が行われた。この結果、七~十二月の六カ月間で映画館・遊戯場等盛り場徘徊、家出浮浪、盗み等々で補導された青少年の数は、一三〇九人にのぼった。このため、保護者との面接相談、関係機関との連絡調整・送致等を行い、不良化防止に努めた(昭33事務)。三十四年には青少年問題協議会が開催され、運動方針等を決定した。以後、青少年対策として、(1)健全な家庭環境づくり、(2)青少年の健全育成を柱として、地区青少年協議会、働く少年少女のつどい、青少年対策モデル地区の指定、地域子供会の結成、児童遊園の設定等を行って来た。三十九年の『社会福祉事業の概要』によれば、青少年課に青少年係と育成係の二係がおかれ、青少年問題協議会、調査・統計、厚生・育成施設、健全育成の普及啓発、問題青少年の補導及び対策の樹立、子供会の運営及び指導者の育成等、健全育成のための地域組織の育成指導等を担当した。
 これらの背景には、三十年代後半からの高度経済成長による工業化、都市化、核家族化といった急速な社会変貌が児童福祉をはじめ、青少年の健全育成に様々な問題をなげかけていた。「かぎっ子」、「蒸発」、「家庭崩壊」といった言葉はまさに当時の状況を表現している。三十八年の『児童福祉白書』(厚生省)では、すでに「日本の児童福祉は危機的段階にある」と述べていた。三十九年、奇しくも北海道内では少年非行の戦後第二のピークを迎えた時期である。表22は、北海道中央児童相談所(昭27~46年度)相談種別件数を示したものである。この表によっても三十九年度の場合、非行相談、育成相談ともに増加し、合計件数は前年の一・三倍に達した。この要因として「かぎっ子」、つまり母親の職場進出の増加が指摘され、男女別役割がまだ強固に根強かった時期にあって、「母親よ、家庭に帰れ」の声さえ高まった。厚生省は、家庭養育機能の強化を図るために、三十九年、児童局を児童家庭局と改め、新たな方針を示すとともに、地方公共団体に対し福祉事務所家庭児童相談室を設け、専門的に対処することを勧奨し、道、市も直ちに呼応し、設置を進めた。札幌市の家庭児童相談室で、四十一~四十六年度まで扱ったデータを表23で示したが、相談種別において生活習慣の問題から次第に教育上の問題・非行・環境福祉といった相談内容に変化していることが分かる。
    表-22 北海道中央児童相談所相談種別件数(昭和27~46年度)(単位:件)
種別養護相談保健相談障害相談非行相談育成相談その他の相談合計
肢体不自由相談視聴覚障害相談言語発達障害等相談重症心身障害相談知的障害相談自閉症相談健康療育相談ぐ犯行為等相談触法行為等相談性格行動相談不登校相談適性相談しつけ相談その他
年度
昭27593361101291,413222392,542
 28490171402111,442281982,526
 296328752114982035831221051051,903
 30467294662963656793171061261,942
 311,161795717152315174034171531532,807
 321,042741091693804416049151272453,071
 3364245912722983346651081381312422,606
 347394274122218341829316151763792,846
 3554875641132873561,068712192271932,870
 3643457166122502511,18231653141981312,785
 37564392411952414431,4563739115791723,405
 385712915712172988881,16427510883161973,572
 396912827115194789281,0426281145703582174,801
 40584432473204118237275422140561071213,358
 415122834210294591,0943475498833811463,232
 42559241325323991,096341351210678281803,027
 43522301981321374421,0993203312103221141193,085
 44480582027266439192230590181116985992,927
 45576312171017403856833074823164252041192,849
 4643925252616793475635287301514935242152,577
『北海道児童相談所業務概要』(昭27~46年度)より中央児童相談所分のみ抽出した。
1.中央児童相談所の管轄区域は以下のとおり変更があるので注意を要する。①27年度,札幌市のほか小樽・室蘭・岩見沢・夕張各市および石狩・空知・後志・胆振・日高各支庁管内も含む。②28.12.28岩見沢児童相談所新設により,空知支庁管内および岩見沢市外7市を分離。③39.10.20室蘭児童相談所新設により,胆振・日高各支庁各管内および室蘭・苫小牧両市を分離。
2.27~32年度分の種別において,それ以降と異なる場合においては,適宜相当する種別に含めた(例 教育相談,進学進級,一般児童の教育は育成相談のその他に,また就職相談はその他の相談に入れた)。

表-23 札幌市家庭児童相談室相談種別件数

種別

年度
生活習慣知能言語教育上の問題非行家族関係心身関係環境福祉その他
昭412406855151823153437
 42264894310151852446
 43221856815117522434
 441897210315159514341
 45253411099196526230644
 46313413818534113426711,032
『社会福祉事業の概要』(昭41~46 札幌市)『厚生事業の概要』(昭47 札幌市)より作成。