文化振興策の一つとして、文化賞の制定があげられる。民間では昭和二十二年に、北海道新聞社が北海道新聞文化賞を設定した。これは学術、教育、産業、一般社会の分野において、北海道文化の振興に功績のあった研究者や功労者を表彰するもので、産業経済賞、社会文化賞、科学技術賞の三部門にわかれていた。毎年、文化の日の十一月三日に受賞者の発表を行い、ブロンズ像とともに副賞として五〇万円が贈呈された。第一回の受賞者は、社会文化賞に伊福部昭(交響詩の作曲)、科学技術賞に上野桂助(クラフト紙の製造)、産業経済賞に日本製鋼所室蘭製作所(プラウ特殊鋼の研究)となっている(北海道新聞四十年史)。
北海道教育委員会では、二十四年七月に北海道文化賞授賞規程を設定し、郷土芸能賞、文化賞、美術賞、音楽賞、科学賞、健康地区賞、文化団体賞、文化施設賞と区分していたが、二十五年四月にこれを廃止した。新たに北海道文化賞規則を制定し、文化賞と文化奨励賞をそれぞれ個人と団体に贈呈することとし、同年九月には、受賞者選定のための北海道文化賞審議会規則を制定している。文化賞規則によると、文化の定義を芸術と科学とし、芸術には音楽・文学・美術・芸能、科学には自然科学・人文科学が含まれるとした。第一回の文化賞受賞者は、小田観螢、能勢真美、田辺三重松、工藤富次郎(ともに芸術)、舘脇操(科学)となっている(北海道教育史 戦後編四)。