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町内会体制の確立

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 戦後札幌市では町内会は自主的に設立されていったが、市は区制への移行を機会に、地域住民との連携を密にした市・区行政の実施をめざして、単位町内会の連絡・協力を図る連合町内会体制を確立しようとした。住民側もこれを受けて、昭和四十七年前後に多くの連合町内会を設立し、それと同時に単位町内会を新設、再編した。
 たとえば白石地区連合町内会は、四十七年五月にこれまでの組織を一旦解散した上で新たに会則を作り、連合町内会を設置し直している。また同年四月、同連合町内会傘下の単位町内会も、本通共栄町内会を五分割、南郷自治会を四分割、中央東親交会を二分割して整備している(白石地区連合町内会三十周年記念誌)。中央区曙地区では、四十七年四月の連合町内会設立に相前後して新たに単位町内会が設立され、第一分区町内会から第一七分区町内会までの町内会が整備されている(札幌市中央区曙連合町内会創立二十周年記念)。
 中央区中央地区では、公区解散後に置かれた「懇親会」が三十一年七月に解散され、本府地区と合同の中央本府同志会(町内会組織)が設立された。四十一年四月には中央、本府両地区合同で中央本府社会福祉協議会を設置し、中央衛生組合(昭28・9設立)をその衛生部として包含したが、四十七年四月、中央本府社会福祉協議会を解散し、中央地区町内会連合会を発足させた(中央地区町内会連合会戦後の歩み)。
 四十六年十一月の時点で単位町内会数は全市総計一二八七、連合町内会数は六二であった(表4)。連合町内会は一〇から二〇程度の単位町内会で構成される例が最も多いが、中には藤野町内会連合会のように四つの単位町内会でしか構成されていないものから、月寒地区町内会連合会と真駒内地区自治団体連絡協議会のようにそれぞれ一一八、一一三の単位町内会で構成されているところもあった(連合町内会:町内会・自治会名簿 昭46)。単位町内会、連合町内会ともに、次第にその数を増し、平成十五年には単位町内会数は二一〇〇を超え、連合町内会数も九〇を数えている(札幌市の区勢 平15)。
表-4 札幌市内の町内会数の推移(昭和46年以降)
市計中央区北区東区白石区厚別区豊平区清田区南区西区手稲区
連合町内会昭4662146911679
 495515778585
 545715878685
 596415988987
平 173151010119810
  6821610107512886
 119016111086951087
 159016111086951087
単位町内会数昭461,287225129169135193186247
 491,448250146192152242224242
 541,630254180217182280225292
 591,767255205232175324236340
平 11,858252230235189338244370
  61,96625624924912864356247247170
 112,0782592812631336829389256258178
 152,1272622912671367329895256266183
昭和46年は『連合町内会:町内会・自治会名簿』(昭46)、昭和49年は『区勢概要』、それ以降は『札幌市の区勢』各年版。昭和46年は11月1日、その他は10月1日のもの。

 地域集会施設は、市の資金助成もあって年を追って増加している(表5)。地域集会施設には、区出張所に併設された市管理の「地区集会所」、連絡所併設で住民管理(貸付)の「地区会館」、住民自らが建設した「市民集会施設」(住民組織財産)などがあり、五十三年四月一日現在総計二四四であったのが(札幌市の区勢 昭53)、平成十五年六月一日現在では三三七にまで増加している(札幌市の区勢 平15)。
表-5 札幌市内の地域集会施設数の推移(昭和54年以降)
市計中央区北区東区白石区厚別区豊平区清田区南区西区手稲区
市設置施設 昭5483137102381111
 59851471023101011
平 17013910137108
  6781491094101154
 1171138585731264
 1569128685731064
市民集会施設昭541729223426302724
 592238374129413433
平 12419374232463936
  625294043201151402018
 112618434221112034451918
 152688454321112036461919
『札幌市の区勢』各年版。各年とも10月1日のもの。市設置施設は地区集会所、地区会館、その他の合計。市民集会施設は住民が建設した住民財産を指す。

 四十七年の区制移行、連合町内会体制の確立に際して、町内会の組織整備も進められた。白石地区連合町内会では、四十六年十月に連合町内会体制確立に向けて組織改革特別委員会を設置し、六大都市の自治組織を参考に新しい会則を検討した。同連合町内会では、四十七年五月、専門部を総務、交通安全、保健衛生、防犯、厚生、青少年、環境整備、婦人の八部体制とし、また地区住民の声を公平に連合町内会に反映させるために代議制度を採用した(白石地区連合町内会三十周年記念誌)。独立町内会であった緑栄会はそれまで会長、副会長、会計(婦人部長兼務)の三役と青少年担当を置いていたが、四十七年四月、東札幌町内連合会に加入するとともに部制を採用し、総務、社会福祉、衛生、防犯、道路交通、青少年の各部を置くこととした(緑栄会の三十年)。
 なお、町内会の加入世帯率は、四十九年に八六・七二パーセント(区勢概要 昭49)、五十四年は九二・五〇パーセントであったのが平成十五年には七四・八六パーセントにまで下がり(札幌市の区勢 昭54、平15)、町内会活動もかつてほどの活発さを失いつつある。