昭和五十五年(一九八〇)五月、都市計画法と建築基準法を改正した時に「地区計画制度」が創設された。
地区計画制度とは、市街化区域内において、公共施設の整備、建築物の建築などの土地利用の現状と将来の見通しを勘案し、その区域の各街区における防災、安全、衛生等の機能が確保され、かつその良好な環境の形成または保持のためにその区域の特性に応じた合理的な土地利用が行われることを目的とし、市町村が関係する住民の意見をも取り入れて定める総合的な都市計画である。
札幌市では、都市計画の一環として、地区計画を積極的に導入して、ミニ開発を抑制し、建物用途の混在による居住環境の悪化の防止を図り、良好な居住環境の確保とうるおいのある街づくりを推進させることにした。そのために五十六年十二月十七日に「札幌市地区計画等の案の形成手続きに関する条例」を制定した。対象区域は、区画整理事業や再開発事業、民間の大規模開発事業が行われている事業関連区域、市街化が不規則に進行したり、これからも宅地開発が行われるようなスプロール区域、良好な居住環境がすでに形成され、これを保存すべき環境保全区域である。そして五十八年一月には札幌市が新住宅市街地開発事業によって開発したもみじ台団地に、ついで二月にはにしおか望陽台団地に地区計画を適用した(概要 昭58、広報 昭57・2)。
平成十四年度末では、一一三地区二九四七・二ヘクタールに適用している。なおこのうち一二地区八一・七ヘクタールには、建築物と必要な道路・公園等を総合的な計画に基づき一体的に整備して、建物用途や容積率等の制限を緩和し、合理的な土地の高度利用を図るため、再開発等促進区とした。また一地区三二・四ヘクタールには、老朽化した木造の家屋が密集し、道路等の公共施設が未整備であるなど、防災上の課題を抱えた密集市街地として、防災性の向上と住環境の改善等を図ることを目的とした防災街区整備地区計画を適用している(概要 平15)。