札幌市では、長期総合計画を策定して昭和四十六年からそれに基づいて、五年計画で事業実施している。その長期総合計画を調査審議するために、四十四年六月に札幌市長期総合計画審議会条例を制定して、札幌市長期総合計画審議会を設置した。その条例には、第六条で、「本市の都市計画の決定に関する諮問事項を専門に審議するため、審議会に都市計画専門部会を置く」と規定されている。これ以降、札幌市では、都市計画決定に関する北海道知事や市長からの諮問事項をこの専門部会で審議して、札幌市の都市計画に関する事項を決定することになった。そのため、長期総合計画と都市計画はより密接な関係を持つようになる。
都市計画専門部会の当初委員は、内海勝(北海道労働金庫理事長)、蝦名賢造(北海学園大学経済学部教授)、及川八郎(北海道嘱託)、太田実(北海道大学工学部教授)、岡田武保(札幌市議会議員)、小川譲二(北海学園大学工学部教授)、小川博三(北海道大学工学部教授)、川村琢(北海道大学農学部教授)、菊田勝雄(札幌市議会議員)、是安末四郎(札幌市議会議員)、讃良博(札幌商工会議所専務理事)、鷹田吉憲(北海道開発局建設部長)、田畔満(札幌市議会議員)、堂垣内尚弘(北海学園大学工学部教授)、林賢治(札幌市議会議員)、宮坂作雄(札幌市農業委員会会長)、吉田一郎(札幌市議会議員)の一七名である(長期総合計画審議会委員関係綴 札幌市所蔵)。
都市計画専門部会は、四十五年には一月十九日、五月十六日、十八日、十月六日、十一月三十日と五回開催された。第一回では、「札幌都市計画北五条西五丁目特定街区の決定について」他五件、第二回は「札幌圏都市計画市街化区域、調整区域の道原案について」他一件、第三回は「札幌圏都市計画道路の変更および札幌都市計画駐車場の変更について」他一件、第四回は「札幌圏都市計画東苗穂土地区画整理事業決定について」他一件、第五回は「札幌圏都市計画用と地域等の変更について」他一件の審議を行った(事務 昭45)。
その審議と答申に基づいて、前述した札幌圏都市計画市街化区域と市街化調整区域の決定(昭45・7・27北海道告示第一八九五号)、札幌圏都市計画用途地域等の変更(昭45・7・27北海道告示第二二八九号)、建築基準法の改正により用途地域の一部変更、住居専用地域と空地地区の変更、特別用途地区(小売店舗地区)、高度地区、準防火地域の一部の変更(昭45・12・18北海道告示第三一一三号、道第三一一四号、札幌市告示第九五七号、道九五八号、道九五九号)などを行った(事務 昭45)。
しかし「札幌市長期総合計画審議会の審議過程の概要」には、都市計画専門部会の日程は記されていない(長総)。この都市計画専門部会は、長期総合計画審議会の部会として位置づけられながら、上記第六条にあるように、その時々の都市計画決定に関わる諮問事項を専門に審議をして、長期総合計画の審議を行っていないように見える。
平成十二年都市計画法の改正により、市町村でも都市計画審議会を設置することが出来るようになったため、「札幌市長期総合計画審議会条例」の都市計画専門部会の規定を廃止し、「札幌市都市計画審議会条例」を制定して、札幌市都市計画審議会を設置した(札幌市例規集)。この都市計画部会と都市計画審議会は、毎年数回の会合をもって時々の都市計画の決定について審議を行っている(事務 昭44~平13)。