札幌市では、昭和四十一年(一九六六)一月から「住宅地造成事業に関する法律」により民間宅地造成を指導してきた。しかし急激な人口増に伴う周辺部での単発的な開発を抑制することは出来なかった。四十四年施行の新しい都市計画法では、宅地造成などの開発行為は原則として市街化区域だけに限定することになった。その許可基準は、道路、公園、上下水道などの住環境を良好にするために厳しいものとなった。そして札幌市では、四十八年七月から札幌市宅地開発要綱による指導を行うようになった(概要 昭50)。
最新の札幌市宅地開発要綱では、都市計画区域内での〇・一ヘクタール以上の開発行為などについて、道路、公園、下水道、水道、河川、消防水利、公益施設について、細かく規定する。例えば、道路の場合、幅員、線形、断面などの道路の構造だけでなくガードレールや標識などの施設配置など、歩行者などの安全が確保されるように設計する。さらに街路灯設置を規定している。また河川では、札幌市が都市型水害防止策の一環として整備をすすめている雨水貯留池の設置を規定している(札幌市宅地開発要綱)。
一方崖崩れや土砂の流出などによる災害を防止するため、四十年五月に宅地造成等規制法により、西野、円山、北の沢、藤野など西部や南部の丘陵地帯二万一八一ヘクタールを宅地造成工事規制区域として指定し、宅地造成の際には市長の許可を必要とした。四十八年六月には、ゴルフ場造成などの土木工事を規制するため、八六七八ヘクタールを規制区域に追加指定した。五十六年八月の水害を教訓として、六十一年五月がけ地対策調査委員会の提言により、それまでの法的規制に加えて、台風期や融雪期の重点パトロールと重点度の高いがけ地の動態観測、がけ地周辺部での建築規制、パンフレットなどによる市民への防災知識の普及対策を講じるようになった(概要 昭63)。