札幌市では、各種都市施設の整備・改善と宅地の効率的利用の増進、健全な市街地として形態を整理するなどのため、札幌市や組合、公団などを事業主体とする土地区画整理事業を実施している。
昭和四十六年(一九七一)策定の札幌市長期総合計画第一次五年計画のなかで、新住宅市街地の開発として組合施行による区画整理事業四六〇ヘクタール、特定地区再開発として宮の森山の手南地区ほか二一地区の約七〇〇ヘクタールの事業を計画した(札幌市長期総合計画 第1次5年計画(昭和46~50年度)昭46・11)。
また同じ特定地区再開発事業のなかに住宅地区改良事業として光星地区ほか三地区の区画整理事業が盛り込まれた(前掲 五年計画)。住宅地区改良事業は、住宅地区改良法に基づき、不良住宅が密集する住宅地域を住宅の集団的建設等の施策により居住環境の整備改善を行うものである。光星地区では、土地区画整理施行区域内に住宅改良事業を取り入れて、老朽住宅の一掃とともに五十五年(一九八〇)頃までに一四階建てなどの高層住宅約二七〇〇戸と店舗等の施設を建設する予定とする。高層化により生ずる空地は、近隣公園や児童公園などの緑地化を図り、集中暖房による公害の排除、さらに区役所、区民センター、飲食店センター、医療センター、駐車場などの施設を充実させる計画であった(概要 昭52)。四十六年度中に真駒内本町地区では、七二戸の改良住宅を建設して事業を終えた(概要 昭49)。
札幌市の人口が急増した四十~五十年代には、市街地の膨張に対応した新市街地の整備と住宅供給が求められた。しかし近年は、より高い利便性と豊かでうるおいのある都市環境を求めるようになり、都心やその周辺部の再生、交通拠点の整備改善、地域中心核の育成、防災拠点の整備など都市機能の充実への必要性が増加している。したがって宅地の整備よりも総合的な整備を行う区画整理事業が求められ、特に既成市街地では、再開発事業、密集住宅市街地整備促進事業などを同時に行うなどの複合的事業が必要になってきた(概要 平10)。
そのような土地区画整理事業として、鉄道線路の連続高架により駅前広場の拡張整備などのために実施された札幌南口土地区画整理事業(平4~11)、旧国鉄東札幌駅跡地を中心とした空閑地を産業活性化と広域交流の拠点のコンベンションセンターなどの公共施設の建設を行う東さっぽろ土地区画整理事業(平12~17)、新琴似駅前地区土地区画整理事業(平9~20)などが行われている(概要 平11、12、15)。東さっぽろや新琴似駅前地区は、多中心核都市構造実現に向けた拠点の育成・整備の事業としても位置づけられている(概要 平15)。
平成十五年(二〇〇三)三月末現在までに施行済みまたは施工中の土地区画整理事業は、一一八地区六三八四・二ヘクタールで、市街化区域面積の約二五パーセントを占め、市民の約三〇パーセントがこの区域のなかに居住している(概要 平15)。