施設整備については、次のような計画を持った。大規模な公園緑地では、運動公園的な利用の他、彫刻などを中心とした芸術公園的な特色を持った整備を行う。近隣公園は、地域住民生活に密着した公園として整備を進め、少年野球場、児童を対象としたスキー斜面などの設置を図る。児童公園には、子供の成長段階に応じた遊戯施設を設けるとともに、花壇、ベンチなどの老人のための施設を整備する。さらに広域的な公園緑地として、石狩湾沿岸に大規模な海浜公園の造成、豊平峡ダム付近に自然のなかのレクリエーション施設の整備、石狩川、茨戸川、豊平川などの河川敷地に河畔公園の造成、東部の丘陵地帯に展望園地の整備を図るとしている。その他にハイキングコースやサイクリングロードなどのレクリエーション施設を整備する。緑化の推進として、保安林、風致地区、樹木保存法の指定個所の拡大、歩道施設のあるすべての道路や河畔に樹木の植栽、花壇の設置、市民みずからの手による記念植樹などの植樹による緑化運動の促進をあげている(以上長総)。
四十七年六月都市公園等整備緊急措置法が制定され、都市公園整備五年計画が発足した。それに伴って札幌市では、四十八年二月緑化政策大綱を制定し、昭和六十五年(一九九〇)の公園面積を市民一人あたり二〇平方メートル以上にする目標とした。そして五十二年には札幌市緑化推進条例を制定した(十三期小史)。
五十一年策定の新長期総合計画では、自然緑地の保全・活用が強く構想され、西部から南部の森林地帯の活用、市の北部から東部の低地系の緑地を湿原公園化して良好な緑地の回復を図るなどを推し進める計画が新たに加わった(新長総)。この構想は、やがて五十五年策定の新長期総合計画の第二次五年計画では、環状(夢の)グリーンベルトとして具体化して整備に着手された。これは、札幌の市街地を取り巻く周囲一〇〇キロメートル、一万六〇〇〇ヘクタールの大緑地帯のネットワークである。四十八年から計画に着手し、五十八年(一九八三)七月白石区山本地区にて起工式が行われた(概要 昭59)。五十七年には緑の基本計画も策定され、市街地周辺の民有林の保護など緑地の保全と増進を図るとともに、その活用を推進した(新札幌市長期総合計画 第2次5年計画(昭和55~59年度)昭55・3)。
写真-6 昭和57年頃の旭山記念公園
昭和六十一年(一九八六)には百合が原公園において、第四回全国都市緑化フェアとして「'86さっぽろ花と緑の博覧会」を開催した。その他緑化推進事業として街路樹の植樹、市街地の緑の保全、市民の緑づくりなどの事業を推進している。特に歩道に宿根草の花を植えるフラワーロードの造成を進めている(概要 平15)。六十三年策定の第三次長期総合計画以降は、一人あたりの公園緑地面積を四〇平方メートルとして、整備を推進している(三長総、札幌市 札幌の緑づくり 大都市における緑保全施策の今後の展開 平14・1)。平成十一年には、緑の基本計画の改定、十三年には札幌市緑の保全と創出に関する条例を制定して、緑のまちづくりを進めている(概要 平15)。環状グリーンベルト構想は、平成十四年(二〇〇二)度において、平地部では、モエレ沼公園、平岡公園、茨戸川緑地などの整備、山地丘陵部では、都市近郊林の保全を計画的に推進している。公園緑地は、都市公園二五三七カ所一九三二・七ヘクタール、都市公園に準ずるもの七九カ所二七一六・八ヘクタールで、公園総数二六一六カ所四六四九・五ヘクタールとなっている。都市公園には、街区公園(平成五年度まで児童公園)二二三四カ所二九三・六ヘクタール、近隣公園一三八カ所二二九・三ヘクタール、地区公園二三カ所一二四・三ヘクタール、総合公園一〇カ所四一二・六ヘクタール、運動公園四カ所五三・六ヘクタール、特殊公園一一カ所一一一・二ヘクタール、都市緑地一〇八カ所四〇四・三ヘクタール、緩衝緑地一カ所一五・五ヘクタール、緑園六カ所一七・二ヘクタール、広域公園二カ所二七一・一ヘクタールがある(概要 平15、札幌市環境局緑化推進部 札幌市の公園・緑地 平成15年度版 平15・7)。
図-5 環状グリーンベルト構想図 札幌市『札幌市政概要』(平15)より