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〈新聞事業〉北海道新聞社の情報化への対応

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 北海道新聞社は昭和六十年(一九八五)七月二十八日付朝刊から電算編集システムを採用し、これにともなって明治以来の鉛活字による活版製作工程は終わりをとげた。このシステムは大量情報処理時代にふさわしく、文字と写真のすべてを電子信号で形作り、記事の整理等も大型コンピュータでこなすもので、より速く読みやすい紙面作りを可能にした。またこれを機に、同社はそれまで一行一五字だった記事構成を一行一二字に切り替えるとともに大型文字を採用し、さらには函館・釧路・旭川に次いで、札幌本社に超高速オフセット輪転機を導入して、同年八月から全道一〇七万部のすべてをオフセット印刷に切り替えた(北の大地に刻む 北海道新聞60年史)。
 平成二年二月同社は新聞・雑誌に続く第三のメディアとして、道新オーロラネットを開局し、道内一〇カ所と東京にアクセスポイントを設けて、道新ニュース・電子メール・電子会議室等のパソコン通信を開始する(道新 平2・2・28)。翌三年十一月一日からはこのオーロラネットを経由して、道新記事データベースの一般サービスも始めている(北海道新聞60年史)。
 道新記事データベースは、昭和六十三年七月から北海道新聞の主要な記事面より収録されていたが、翌年には生活面と科学面を、平成六年春からは全地方版を加えるなど、徐々に収録する紙面を広げていった。こうしたデータベースの拡充は利用者の利便性を向上させるだけでなく、資料保存の面にも変化をもたらした。同社では昭和十七年の創刊時から新聞の切り抜き資料作りを行っていたが、平成五年九月にこれを廃止し、道新記事データベースを有効に使う方向へと転換している(道新 平6・9・16)。
 四年二月三日創立五〇周年を記念して北海道新聞情報研究所が設立された。同研究所は情報収集と研究活動を展開するシンクタンクとして四月から業務を開始し、それまで道新編集局で行ってきた世論調査を実施するとともに、道新以外の会社や企業・団体・市町村等の商業調査や世論調査も受注した(道新 平4・9・27)。
 また九年には創刊五五周年を記念して、北広島市大曲工業団地に「札幌工場」を新設、七月一日から稼働させている。新工場には最新の輪転機を備えたことから印刷能力は飛躍的に高まり、製版・発送等の設備も大幅に改良された(道新 平9・7・1)。