ビューア該当ページ

「婦人保護事業」の経過

578 ~ 580 / 1053ページ
 昭和三十二年(一九五七)四月一日、売春防止法の一部施行に伴い、北海道婦人相談所が札幌市南四条西一〇丁目に開設され、札幌市を除く周辺地域(例えば千歳、定山渓)を担当、一方、札幌市においても市内を担当するために市役所福祉事務所の一角に相談室が設けられ、相談員二人が配置されたことは、市史5上で触れたとおりである。
 高度経済成長期を迎え、四十三年以降、売春歴のある女性の相談件数も減少を迎えた。四十七年札幌市は、政令指定都市へ移行と同時に厚生局福祉部福祉課家庭児童係に婦人相談員を配置した。事務分掌では「要保護女子につき、その発見に努め、相談に応じ、必要な指導を行い、これらに付随する業務を行う」(札幌市児童・母子福祉概要 平3年度)となっていた。表42で四十七年度から平成十二年(二〇〇〇)度までの婦人相談員の取り扱い状況を見ていくと、受付件数、処理件数合計ともに年々増加しているのが分かる。特に平成五、七、八年度は年四〇〇〇件を超えた。受付内容別に見ていくならば、処理件数の約半分が、「助言・指導のみ」である一方、相談窓口から「福祉事務所や区福祉部へ移送」が多いことも、相談内容において生活保護などを要する対象者であることも伺われる。また、「婦人相談所へ移送」という数も、四〇から六〇件の数値を示していたが、昭和六十一年度には八一件、翌六十二年度には一〇四件と最初のピークを迎えた。また、次のピークが平成五、六、七年度にかけてであることから、時期的にバブルの最盛期とその後にあたっていることと何らかの関係があるのではなかろうか。九年段階で、道立女性相談援助センター(昭56・4 北海道婦人相談所、西区西野に移転、北海道立手稲向静学園と併置、平7・10 北海道婦人相談所から改組)でのいわゆる売春歴のある女性からの相談や施設活用は全体の二パーセント程度に過ぎなくなっていたものの、売春が減少したことを意味するものではなかった。ますますエスカレートする性情報の氾濫、売買春を許容するような社会風潮にあって、売買春の未然防止が重要課題となってきつつあった。
表-42 札幌市婦人相談員取り扱い状況(昭和47~平成12年度)
年度婦人更生資金の貸付申請手続き数婦人保護施設への収容就職・自営結婚家庭へ送還福祉事務所
・区福祉部へ移送
婦人相談所へ移送他府県へ移送その他関係機関へ移送助言・指導のみその他処理件数
合計
昭47192282402457491771,136
 48282372532799012081,366
 4920410125488779833081,583
 501845109304748802691,393
 512104127243767792451,279
 5217051766051229823821,749
 5342731876361151,0093981,812
 543051194611128633611,537
 55033613174582949425531,875
 560465061985641311,6245812,669
 57091090261616801011,4593652,298
 58031121171625041111,3525452,357
 590864132015731291,2225762,291
 60
 61087493198102071,7557663,228
 6205511838310412202,0919243,797
 630303132714411421,7097933,006
平 1028152224011651,7168172,995
  2033152965141921,8908193,291
  3023632695501981,8737883,215
  40432243457611941,9881,1483,821
  505852340185152602,0831,2004,130
  608213539798112081,8421,2973,971
  70675154818322492,0331,3434,278
  8021654595111572,1921,1874,079
  906134116241212,1031,0573,768
 100101154231538751,5797662,877
 1109094175511621,8295862,807
 1203592186489591,8506412,893
『厚生事業の概要』・『厚生事業概要』(昭48~59年度)、『札幌市児童・母子福祉概要』(平4・9年度)、市保健福祉局児童家庭部提供資料より作成。