表-2 国民生活安定法による標準価格の指定状況 |
NO. | 物資名 | 標準品目 | 標準価格 | 指定年月日 (昭和) | 解除年月日 (昭和) |
1 | 灯油 | 18リットル缶 | 店頭渡し | 49.1.18 | 49.6.1 |
(民生用) | (正味量18リットル) | 380円 | |||
2 | 液化石油ガス | 10キログラム充てん容器入り | 配達料込み | 49.1.18 | 51.5.1 |
(民生用プロパンガス) | (正味量10キログラム) | ・49.8.19まで | |||
1,300円 | |||||
・49.8.20以降 | |||||
1,500円 | |||||
3 | トイレットペーパー | 古紙55メートル 4個1組 | 220円 | 49.2.1 | 49.5.24 |
古紙65メートル 4個1組 | 240円 | ||||
パルプ60メートル 4個1組 | 240円 | ||||
4 | ちり紙 | 800枚1組 | 235円 | 49.2.1 | 49.5.24 |
札幌市『生活物資等対策概要』昭51年度より作成。 |
札幌市では同年十二月二十二日、生活物資等緊急対策会議準備事務局を開設し、次いで本格的な札幌市生活物資対策部(昭和50年5月に経済局生活物資部に改組される)を新設し、市民の立場を重視した物資不足と物価上昇に対する次のような緊急の対策をとった。
・ | 48年12月22日=市生活物資等緊急対策会議準備事務局が、市民からの苦情、相談に応対し、受けた相談件数はプロパンガス(一三六件)、灯油(一二九件)、紙製品(一九件)、洗剤・食品その他(三三七件)となり、四十九年三月六日現在には合計六二一件に達した。 |
・ | 49年1月18日=「国民生活安定緊急措置法」に基づいて、小売店は指定物資の家庭用灯油・家庭用プロパンガス、また、二月一日以降はちり紙・トイレットペーパーを、規定の「標準価格」を記載した表を店頭掲示したうえで、標準価格を超えない価格で販売しなければならないことになった。 |
・ | 49年1月22日=標準価格の実施に伴う監視や調査の権限が国から政令指定都市の札幌市に委譲された。市では生活物資対策部を新設し、標準価格や販売価格が正しく見やすく表示されているかGメンによるパトロール調査を開始した。市内の関係店舗数は、灯油一五〇〇店、プロパンガス五一〇店、ちり紙二〇〇〇店、トイレットペーパー六五〇〇店にのぼり、このうち二月末までに立ち入り調査を実施した店舗数は灯油が約三割、プロパンガスが約四割強、ちり紙が一割強、トイレットペーパーが一割で、そのうち標準価格に違反していた灯油七店、トイレットペーパー・ちり紙七五店に対して値下げを指導した (札幌市生活物資等対策概要 昭49・6)。 |
また四十九年一月二十二日には、市民側の情報収集や要望意見の集約、問題点の把握と対応策を審議するため、札幌市は札幌市生活物資等緊急対策会議(学識経験者・消費者・市議会議員、以下「市緊急対策会議」と略す)を開設し、政府関係機関や業界団体に対して対策を要請することになった(札幌市生活物資等対策概要 昭49年度)。
「市緊急対策会議」で再三協議され、問題視されたのは北海道価格である。国は、取引の地域的事情によっては標準価格を基準として妥当な価格を認めるとした「国民生活安定緊急措置法」の第七条により、札幌市内には東京のプロパンガスの標準価格一三〇〇円(表2)よりも二〇〇円高い一五〇〇円の実勢価格を業者に指導通達したため、札幌市と北海道は連携して国に撤回を求め、結果的に五〇円引き下げた一四五〇円を実勢価格とさせ、東京との価格差は一五〇円に縮小した。続く、同年八月の改正により一五〇〇円に値上げされた時にも、市内の実勢指導価格は一六五〇円とされたため、元売り仕切の業界に値下げを要請した結果、一六〇〇円で容認し、東京との格差は一〇〇円に縮小した。その後も、不合理な諸物資の北海道価格の解消は長年の課題となり、市は常にねばり強く国と業界に対して是正の要請を続行していくことになる(後述)。
四十九年二月一日には買占め防止法の権限が札幌市に委任され、二四品目の監視業務を開始したほか、学用品の値下げを卸・小売販売業者に要望し、新入学児童に一五パーセント割引で提供されたり、札幌石油業協同組合から生活保護世帯六七〇六世帯に無料灯油が提供されるなど当面のモノ不足と値上げ対応策がとられた(札幌市生活物資等対策概要 昭49・6)。