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伝染病予防法の廃止と感染症新法の施行

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 伝染病予防事業は、伝染病予防法によって患者を「隔離収容」し、検疫所からの通報により海外渡航者や家族、接触者の検病や検便、さらに患家の消毒を行う。あわせて衛生指導も含めた防疫措置は、保健所や衛生研究所、市立札幌病院南ヶ丘分院と保健衛生事業所、保健部が連携して推進してきた。その後、医療技術の進歩や衛生環境の向上など、感染症を取り巻く状況の変化に対応するとともに、感染症の患者などの人権にも配慮して、効果的な予防や治療を行うため、伝染病予防法(法定伝染病11種・指定伝染病3種・届出伝染病12種)を廃止し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下感染症新法と略す)が平成十年十月二日公布され(平11・4・1施行)た。また同時に感染症新法には、性病予防法(4種)とエイズ予防法(1種)も統合されて一本化した(表18)。目的はハンセン病やエイズへの偏見をなくし、感染症に対して正しい認識を持つことで予防法を理解し、拡大を防止することであった。同法により大きく変更されたのは、1類の予防法や治療法が確立されていない致死率の高い感染症は入院を原則とし、その他は患者の状況に応じて入院する緩和策である。治療器機を完備した指定病院制を採用して、治療効果を上げること、長期入院の患者(又は保護者)は、厚生大臣あてに行政不服審査請求を文書や口頭で行えることである。また、法定伝染病の入院は全額公費負担であったが、一部の類型を除いて医療保険が適応された(表18)。なお同法は、十五年十月十六日に5類に分類改正された。
表-18 新感染症対象の種類平成13年度現在
感染症類型主な対応医療費負担
新感染症全額公費
1類感染症=(5種類)
ペスト、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ熱、マールブルグ病、ラッサ熱、
原則として入院医療保険適用
残額は原則として公費
2類感染症=(6種類)
腸チフス、パラチフス、ジフテリア、コレラ、細菌性赤痢、急性灰白髄炎(ポリオ)
状況に応じ入院
3類感染症=(1種類)
腸管出血性大腸菌感染症
特定業務への就業制限医療保険適用
(自己負担あり)
4類感染症= (61種類)
マラリア、破傷風、梅毒、エイズ、クロイツフェルト・ヤコブ病、急性ウイルス性肝炎、エキノコックス症、アメーバ赤痢、日本脳炎、デング病など
発生動向の把握・情報提供
札幌市保健福祉局資料より作成。平成15年10月16日の改正により、重症急性呼吸器症候群(SARS)や生物テロル対策のために天然痘が追加指定され5分類となった。