このように、四十八年までの高度経済成長を製造や建築現場、販売で下支えし、またさらにその後も労働力や社会人として市民社会形成の一員となったのは、毎年道内各地から札幌に就職してくる中学卒・高校卒の若年労働者たちである。特に住み込みの店員や工員は市外からの中学卒が担ったのは先述したごとくである。市外から移入する若年労働者の詳細な人数は不明だが、中学卒の職業安定所を通じた人数は表39にあるように、三十五年に四五〇人であった管外就職者が四十年には二一〇四人に増えて市内就職者全体に占める割合も二三パーセントから五五パーセントに増加し、年少労働者の過半数は管外からの中学卒者に頼っていたことが分かる。そのほかの縁故就職も加えると、毎年中学卒六〇〇〇人、高校卒一万三〇〇〇人(道新 昭47・11・21)という四十七年の数字がある。また、同年の丸井・三越・五番舘・池内・そうごの五店だけでも市外出身者四〇〇〇人が働いていた(道新 昭47・12・20)。
表-39 札幌職業安定所-中学校卒業就職者の管内・管外比率(昭和35年~40年) |
区分 | 昭35 | 昭36 | 昭37 | 昭38 | 昭39 | 昭40 | ||
就職者数 | 就職総数 a(人) | 1,928 | 2,108 | 3,054 | 2,807 | 2,704 | 3,828 | |
札幌 | 小計 b(人) | 1,478 | 1,302 | 1,637 | 1,576 | 1,520 | 1,724 | |
比率 b/a(人) | 76.7 | 61.8 | 53.6 | 56.1 | 56.2 | 45.0 | ||
札幌管外 | 小計 c(人) | 450 | 805 | 1,417 | 1,231 | 1,184 | 2,104 | |
男 (人) 女 (人) | 231 219 | 402 403 | 783 635 | 638 593 | 659 438 | 1,067 1,037 | ||
比率 c/a(%) | 23.3 | 38.2 | 46.4 | 43.9 | 43.8 | 55.0 |
札幌公共職業安定所調。 『中学校卒業生の札幌市内就職状況調査』より作成。 |
札幌に集中するこのような若者たちが親元を離れて「孤独な生活」を送っているのではないだろうか、との心配や、若年労働者たちの「健全な」余暇の過ごし方などへの対策として、すでに三十五年、業界からも福祉施設の建設を求める陳情が市議会に提出されていた。