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都市としての札幌市の教育課題―公害教育・安全教育

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 周辺地域には「小さい学校」をもつ札幌市であるが、やはり多くの学校は都市としての教育課題をもっていた。ここでは、市教委が昭和四十七年度以降に重点施策としてあげてきたいくつかの課題について都市化の状況と絡めて見ていくこととする。
 まず、「公害教育・安全教育」についてである。高度経済成長期をむかえて、公害問題が札幌市でも浮上した。そのため子どもたちは騒音や大気汚染などに悩まされることになる。四十七年度の道教研調査によれば、市内の八〇校の学校が公害の影響を受けており、そのうち騒音・振動の被害が五一・一パーセント、大気汚染が三二・六パーセント、悪臭が一〇・〇パーセントの割合を占めていた。市教委では四十六年度に「公害に関する指導の手引き」を作成し、小・中学校の教員に配布して指導にあたらせた。それによれば、公害を「人間の健康、生命及び生活環境を阻害するすべてのものと広義に解釈」し、手引きの特色として「小学校高学年を対象とし」「小学校、中学校の関連をふまえ」さらに「教科、領域間の調整を図った」としている。「指導にあたっては特別に授業を設けることなく」「各教科・各領域における学習の中でどのように取り上げるかについて明らかにし、その指導展開例を示し」ている(公害に関する指導の手引き)。四十八年度からの二年間には、創成小学校に「指導の手引き」の活用をふまえての、公害に関する指導のあり方を委託研究させた。
 また安全教育についても緊急の課題となっていた。四十五年度には幼児および小・中学生の交通事故による死傷者が八六八人であった。市教委は三月・七月に、長期休業中の児童・生徒の事故防止についての通達を毎年発した。また四十六年度から発行されていた「安全教育に関する手引き」が「校内安全、交通安全の面に偏り、校外、特に下校後の安全についてはやや抽象的、概念的である」ことから、子どもの遊びを総点検して、「あぶない遊びと育てる遊び」という生徒指導資料を作成し、四十八年四月二十七日に市内小・中・高校の教師約五〇〇〇人に配布した(道新 昭48・4・28)。また豊平川での水泳禁止も打ち出された。それに関連して、市においては、泳げない教員の比率が非常に高いことから、四十七年度に六月七・八日、計一〇〇人を集めて理論と実技の研修を行った。さらに五十六年度の小学校教諭の教員採用試験からは、二五メートルを泳ぐという体育実技を導入した(道新 昭55・6・24)。