[現代訳]

 
    申し渡し覚え
 このたびの浅間山の大噴火によって、追分・沓掛・軽井沢三宿をはじめ、浅間山近辺の村々が難儀をしているので、とくに申し渡す。
 米穀はいうまでもないが、そのほかの商品も買い占め、商人仲間で相談して、値段をつり上げて売るようなことは、ぜったいにしてはならない。正直に商売をするべきである。
 右のことは、常々心得ておくべきことであるが、このたび浅間山が大噴火して右の三宿はいたって難儀しているという。このため商品を買い占めたり、値段をつり上げたりしないようにしてほしいと、三宿から御影代官所へ願い出たということを、御影代官所から岩村田藩役所へ知らせてきた。岩村田藩領内においても、もし買い占めたり、高値で商売するような者がいたら、かならず処罰する。
 このことを諸商人へ話して聞かせ、承知したという証拠に諸商人から判子を取れ。また、もし右のようなことを見聞きしたら、さっそく申し出よ。知っていて放置したら、宿役人を処罰する。
 七月十四日   岩村田藩役所
 
右の命令を承知しました。その証拠として全員が押捺して提出します。
                            岩村田宿  
天明三卯年七月十四日                    忠 八 (印)
           (以下、三〇名省略)