[現代訳]

  明治二 己巳年
       六月
組合取極書
     小県郡
      高梨村

 
 新しい世になったので、古いしきたりを改めるという趣旨のご布令書が、伊那県(後の長野県)から出されました。さらに、冠婚葬祭についても、ふたたびご布令書が出されました。そこで組合村の申し合わせを定めました。内容は次の通りです。
 
   婚礼
一 結納ものはなるべく手軽にすること
一 婿と嫁のほかは木綿の服にすること
   ただし 嫁に付き添う婦人やとりもちの婦人といえども、うちかけを着用しないこと
一 吸い物は一回、肴は三種とすること
一 本膳のほかに引きものなどは添えないこと
一 婚礼の当日であっても出席者は親類隣組組合の範囲だけとすること
    ただし 男女の節句祝いもこのようにし、やりとりしないこと
一 三つ目祝いやそのほかの祝いには赤飯を配らないこと
    ただし 婿嫁の里へは祝いをやること
一 披露だ、などといって村役人や親しい者に酒をふるまわないこと
 
   葬式
一 葬式道具について、棺桶のふたは一重とし、ごく手軽にし、絹や木綿を使わず紙をはること
一 はさみ箱、花かご、灯ろうは使わないこと
一 葬祭のとき、仏事はやめ菩提寺僧侶、付添の相僧侶とも一人とすること
    ただし 菩提寺僧侶は駕籠で行くことはやめ、長柄杖などの持参もしないこと
一 婦人の見送りはしないこと
    ただし 血縁の者でも白無垢を着ないこと
一 自分の村の者が悔みに来たとき、野辺送りは親類組合その耕地の者だけとすること
一 墓穴を掘る者は、その耕地の者と党中の者だけとすること
    ただし 酒は三升だけとすること
一 客については、親類家組合だけとし、なるべく倹約すること
一 配り膳はしないこと
一 となり村であっても親類のほか親しい者が次の年に悔みにきて命日だとしても特別に立ち会わないこと
一 他所親類の者がきても菩提寺へ同道しないこと
一 婦女子講中で悔みにきて念仏をしないこと
一 出棺のあと、大工苦労呼といって振舞をしないこと
    ただし さまざまな振舞も同じようにすること
一 居士や大姉の号は付けないこと
    ただし 門牌もしないこと
一 本膳は一汁二采だけとすること
一 酒は出さないこと
一 餅や茶菓子は出さないこと
 
 このように決めたからには、いつまでも違反しないように気を付けること。もし違反する者がいたら、お役所へ訴えること。組合村のなかで違反したものがあったら、組合村でそのことを話し合い、その結果によってはやはり訴えること。
 これまでも、たびたびこのような取り決めをしてきましたが、とかく古い習慣に従ってしまい、守られないことが多くなっていました。
 このたびは、伊那県からのご布令も出されましたので、村の者が皆で取決めを守るよう、それぞれが印を押し、取決書をお役所へ差出します。
 
      和田村  名主 喜左衛門 印
      大門村  名主 才兵衛  印
      長窪新町 名主 徳右衛門 印
      長窪古町 名主 二兵衛  印
      腰越村  名主 喜右衛門 印
      高梨村  名主 弥惣太  印
      平井村  名主 善兵衛  印
      荻窪村  名主 新吾   印
      和子村  名主 孝三郎  印
      辰口村  名主 源吾右衛門 印
      尾野山村 名主 三右衛門 印
      長瀬村  名主 市左衛門 印
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