プロピライトは鈴木ら(1969)によると、更に安山岩質プロピライトⅠ、石英安山岩質プロピライト、安山岩質プロピライトⅡに分けられる。
安山岩質プロピライトⅠは亀田川上流の庄司山と雁皮山にはさまれた地域、松倉川上流の三森山西方地域に分布している。松倉川のものは粘板岩を不規則に貫いているが、亀田川のものは汐泊川層中に迸入しており、全般に著しく鉱化変質を受けている。そのため有色鉱物のほとんどが緑泥石に変化しており、斑晶としては微細な緑泥石や斜長石が認められる。石基の大半は緑泥石、石英、方解石等に置換されている。
ここに斑晶というのは斑状の火山岩、半深成岩において、より細粒の石基中で肉限的に目立って大きく見える結晶のことを言い、石基とは同じく斑状の火成岩において斑晶と斑晶の間を埋めている物質のことを言う。
石英安山岩質プロピライトは松倉川上流と亀田川支流に分布する。汐泊川層の緑色凝灰岩部層および硬質頁岩・頁岩部層中に、NSあるいはNW~SE方向を取って迸入している。石英安山岩質プロピライトの多くは鉱化変質を受けているが、やや新鮮なものは淡緑色あるいは灰緑色をしている。変質を受けたものは石英、緑泥石、ぶどう石、方解石、黄鉄鉱などになっている。斑晶としては斜長石、石英、緑色角閃石を含むが、時には普通輝石やシソ輝石も認められる。石基はガラス質あるいは微珪長質組織を示している。
安山岩質プロピライトⅡは三森山東方にN60°E方向の小岩脈として産出している。暗緑灰色をしているが、全般に鉱化変質を受けている。斑晶としては斜長石が認められるが、有色鉱物は完全に緑泥石に変わっている。石基も緑泥石や方解石あるいは石英などに置換されている。
これらのプロピライトは鈴木 長谷川(1963)によると、汐泊川層の堆積の中期ころに迸入したものと推定されている。
プロピライトはもともと黒っぽい石英安山岩や安山岩およびその火砕岩が、あとで熱水変質されて暗緑~淡緑色のち密な石理を持つようになった変質岩で、変朽安山岩、あるいは粒状安山岩の名で呼ばれることもある。