函館付近の鮮新世の地層には松倉川層があり、寒川火山噴出物層、松倉集塊岩層の上に不整合を成して乗っている。松倉川層は鈴木 長谷川(1963)によると、松倉川の最上流部にのみ分布している。黄色味を帯びた凝灰質砂岩および泥岩から成り立っており、非常に軟質である。南東側に5度ほどの傾斜を示す程度で、ほとんど水平に近い層理を持っている。鈴木ら(1969)によると、松倉川層最下部には下位の安山岩質プロピライトⅠに由来する砕屑岩が発達し、両者の接触面には褐鉄鉱が沈殿しており、この上には、やや炭化した木片をはさみ、多量の浮石を包含する泥岩が発達している。更にこの上部には薄い凝灰岩や砂岩と泥岩との細かな縞(しま)状の互層がやや厚く発達し、最上部では泥岩中に多量の火山角礫を含む集塊岩様の岩相に移化し、特に細互層部には著しい層間褶(しゅう)曲構造が認められるとされており、湖成堆積物と考えられていることは両報告とも同一である。
鈴木 長谷川(1963)により鮮新世地層と同時期と考えられる火成岩類には、雁皮山溶岩、三森山溶岩、石英粗面岩溶岩がある。